ワンピース考察

『ワンピース』が「新世界編」以降つまらない理由。

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まず大前提として、私にとって『ワンピース』は史上最も好きな漫画であり、毎週ジャンプをチェックして、単行本も全巻買い続けている唯一の作品です。

特に「頂上戦争編」は毎週興奮冷めやらず、一週間が長くて仕方ありませんでした。

そんな大好きだったワンピースが、597話「3D2Y」の後、4週間の大型休載を挟むことになります。この発表には当時衝撃を受けましたが、物語の演出として面白いし、「頂上戦争編」の怒涛の展開とエース死亡の衝撃を考えると、こうして時間をおいて区切るというのはうまい判断だと思いました。

『ハンター×ハンター』のようにいつ再開されるかわからない状態で何年も待たされ続けるわけではなく、「4週間」と決められているわけですからね。連載再開後の展開を予想しつつ、ワクワクしながらその日が来るのを待っていたわけです。

「2年後」は、最悪の1話からスタート

そうして待ちに待った連載再開。

待ちに待った「598話」。

蓋を開けてみると、地獄のようにつまらない1話でした…。「え…なにこれ全然意味わからないんだけど……。休載前までの盛り上がりを一気に無に帰すこの展開は何……? 待ちに待った連載再開後の1話目がこれ……??」

ビックリするくらい期待はずれで、肩すかしを食らいました。新世界編後「最悪の1話」といってもいいでしょう。

編集者はよくこんな内容でOKを出したと思います。編集者も一緒にハワイにバカンス行っちゃって仕事してなかったんですかね?

何がそんなにダメなのか、以下解説します。

①2年ぶりの再会なのに、一味の会話がほとんどなく、読者が置いてけぼりに。

読者が楽しみにしていたのは、2年間離れ離れになっていた一味のメンバーが、再会した時にどんなやりとりを見せてくれるのかではないでしょうか。

私としては、 

  • 再会を果たした時、一味のメンバーがそれぞれに対してどんな言葉をかけ、どのようにお互いの2年間を振り返るのか?(特に初期メンバーのゾロ・ナミ・ウソップ・サンジは、エースを亡くしたルフィに対してどのような言葉をかけるのか?)

というのを一番の楽しみにしていました。

だって家族のように仲が良かったメンバーと、2年間も会えなかったんですよ? 再会したら積もる話があり過ぎて、まず何よりお互いの2年間について話を聞きたいと思うのが普通じゃないですか。

それこそ船のダイニングテーブルで、(一部メンバーだけでもいいから)それぞれがどんな修行をして、どんな強さを手に入れたのか内輪トークをして欲しいと思っていたんです。

しかしながら尾田先生は、「偽・麦わらの一味」という(どう贔屓目に見ても)存在意義のない、作品の質を下げるだけのクソ設定を持ち込んで、一味のコミュニケーションをほとんど描かないという選択をしました。

しかもルフィとチョッパーにあたっては「偽・麦わらの一味」を本物だと信じてしまうシマツ。「あいつらに゛会いてェよォオ!!!!」と涙ながらに叫んで、再会を心待ちにしていたくせに、明らかに外見の異なる(アニメを確認したところ声も違う)偽物を本物だと思い込むって……あなたにとって「仲間」って一体何なんですか……あの涙はなんだったんですか……。

↑こんなに贅肉だるっだるのゾロと、頰がこけてガリッガリのサンジのどこに、今まで一緒に戦ってきた強キャラ感があるんですか。。あなたが仲間に誘ったのは、こんなザコキャラたちでよかったんですか……。

たしかに、ルフィとチョッパーは「特徴」だけで人を見るからよく人を間違える、というギャグ設定は以前からありましたよ。そげキングの時も、スリラーバークでゾロの影の剣士に会った時もそうです。だから偽物のゾロとサンジがいたら、それに騙されるというのはルフィ、チョッパーの役割としてわかります。

でもね、その設定、待ちに待った「2年後」の再会時に入れる必要ありますか?? 仲間の顔を思い浮かべながら「あいつらに゛会いてェよォオ!!!!」と号泣したルフィと、そんなルフィの力になるために今自分ができることや困難に立ち向かうことを決意した仲間たち。こうして描いた一味の絆の深さを、なんで偽物に騙される(=仲間のことを深く理解していない)という雑音にしかならない設定で、こうもあっさり踏みにじってしまうのでしょうか。

手配書の顔と明らかに違うのに、コロッと騙される海軍や市民たちにも違和感しかありませんし、この茶番でしかない無理筋の設定を、待望の連載再開後の1話目に持ってくる必要、本当にあったでしょうか?

「そんなもの読者は求めていない」「この展開ではこれまでの勢いと盛り上がりを削いでしまう」「長期休載後の1話目として、これでは読者が納得しない」と、編集者はなんで言えなかったんでしょうか。

また、なんでゾロが片目になったことや、サンジの髪の分け目が変わったこと、ルフィのお腹の大きな傷について、一味のメンバーは誰も触れないんでしょうか。ナミの巨乳化やフランキーの奇形化・ロボット化、ブルックのミュージシャン化なんかより、よっぽど気になることではないでしょうか。それは読者にとってもそうですし、麦わらの一味にとってもそうでしょう。

なぜ最もツッコむべき主要メンバーのキャラデザ変更について、読者に説明する描写を入れて、違和感を取り除いてくれなかったのでしょうか。

「ゾロ、お前左目どうしたんだよ…!!」とか、「サンジお前、なんで髪の分け目変えたんだ??」とか、「ルフィお前、その腹の傷、頂上戦争の時のか…!?(大丈夫だったのか!?)」のような会話が、最初に会った時に自然と生まれるはずでしょう。そういうことを丁寧に描いてきたのがワンピースじゃないですか。

連載再開後、一番重要ともいえるそのコミュニケーションが描かれずに話が進んでいくため、読者は完全に置いてけぼり。まったく感情移入ができない形で、新世界編がスタートすることになってしまいました。

②キャラデザの無意味な変更により、これまでの愛着・思い入れが台無しに。

そもそも、2年経ったからといってキャラデザを変える必要ありましたか??

ファンが長年親しんだキャラデザを無意味に変えられてしまったことで、これまでの愛着が失われ、(しかもその変更について物語の中で説明がなされずに話が進んでいくため)2年後から途端に感情移入しづらくなってしまいました。これまでの思い入れが、一方的かつ強制的にリセットされてしまった気分です。

2年も経てばビジュアルが変わるのが当然、というのはわかりますし、2年前との違いを明確にして区切りをつけたかったとか、成長を描きたかったというのもあるのでしょう。

でもそこは漫画なんですし、5年10年経ってるわけでもないんだから、過度な変更を加える必要はなかったと思うわけです。

実際、ルフィはほとんど変わってないわけじゃないですか。主人公のデザインが大きく変わると、これまで築き上げてきたファンの愛着が途切れてしまうからという判断があったのではないでしょうか。なぜ他のキャラクターにもその考えを踏襲してあげられなかったのでしょうか。

私は未だに現在のキャラデザに慣れません。。というか、初期のデザインの方が圧倒的に優れていて魅力的だった(これ以上ない完璧なデザインだった)と感じるため、不要な情報が大量に付け加えられた今のキャラデザが、劣化版ないし二番煎じにしか感じず、どうにも受け入れられないのです。

実際、どのキャラも描き込みが増えた結果、シンプルさが失われ、「新世界編」以降は常に画がごちゃごちゃしている印象になってしまいました。

ゾロ


片目になって欲しくなかったです。単純に視野が狭くなるんだから実力落ちるでしょ…と心配になってしまいました。

また片目になったことで表情のバリエーションが減り、可愛げがなくなりました。ゾロの魅力は、見た目は怖いのに優しくて可愛げがあったところだったのに、それが大きく失われてしまいました。この先、片目の謎が明かされるんでしょうけど、そんな設定を入れるよりも、これまで通り両目が開いてるゾロのままでいて欲しかった。

また、毛量が増えて若干パーマがかかっているのも似合ってません。短髪ストレートのままでいて欲しかったです。 (結局、パーマの描き込みがめんどくさかったからか、今は普通のストレートになっていますし。それなら最初から無駄な変更加えなければよかったのに…)

ナミ

ナミはショートカットのままでいて欲しかった。これに尽きます。その上、前髪に一本だけ変なクセっ毛を入れたせいで絵のバランスが崩れ、見ていて違和感のあるデザインになってしまいました。(この前髪パーマも、結局今はなくなっています。つまり不要な変更だったわけです)

また胸の巨大化も不要でした。今までも十分巨乳でスタイルよかったのに、奇形乳となり(尾田先生は少年のためとか言ってるけど、リアリティのない奇形乳に本当に少年は喜んでいるんでしょうか…)、下腹部の股のラインが強調され過ぎたせいで、性的な目で見る男性読者(尾田先生の言う「少年」)へのサービスカット要員に成り下がってしまいました。

2年後のウソップとの再会時、いきなり抱きついて胸に顔をうずめさせる描写にドン引きした読者は少なくないでしょう。

「あぁ、2年後はそういう路線で行くんですか…」と。これまで築き上げてきた健全な世界観(読者が勝手にエロい目線で見る分にはいいけど、エロ読者の期待に応えるような露骨なエロ描写はしませんよというスタイル)が一気に崩された瞬間です。

ウソップ

髪のボリュームが増えたのは似合ってるからいいんですが、あごヒゲが完全に不要です。似合ってない。最初は「新世界編」以前のサンジみたいなちょび髭だったのに、最近はおむすびまんのアゴみたいになってしまいました。いつからあなたアゴに海苔つけるようになったんですか。

またナミの胸に「また一段と実っちまって…♡」とか性的なコメントをさせるのも気色悪いです。巨人島編での「もっと脱げー」や、「幸せパンチ」に鼻血を出すとか、そういうちょっとしたエロ反応であれば「少年向け」というのがわかるんですが、これはもうエロいおっさん向けの描写でしょう。 

男性キャラに直接ナミの胸に触れさせて感想を言わせる、というやりとりにドン引きで、ワンピースはそういうの露骨なエロを避けているところが好きだったのに、2年後からそういうシーンが頻発していて純粋にストーリーを楽しみづらくなってしまいました。

サンジ


鼻下のちょびヒゲと濃いあごヒゲがダサいし、髪の分け目を変えたのも意味がわかりません。分け目を変えたことで髪のバランスが取りづらくなったのか、毛量が無駄に増えて寝癖みたいな外ハネがつくようになり、スマートさがなくなりました。最近はすきバサミですいてやりたいくらい毛量が多く、髪の毛ボサボサのただのだらしないおっさんになっています。 

分け目を変えたのは、「ジェルマ66」の登場を見越して、左眉もぐるぐるであることを見せるためだったのかもしれません。それでも、別に分け目を変える必要なかったですよね?「サンジもジェルマの人間なら、左眉もぐるぐるなんだろうな」って読者に想像させるだけでいいじゃないですか。もしくはジェルマとの再会のタイミングで、今まで隠してきた左顔を明かす展開の方がよっぽどワクワクしたはずです。

私にはどうしても、「2年後の変化」を入れるにあたって、サンジの変更点に困って分け目を変えただけにしか見えないのです。なんのために今まで片目だけしか見せてこなかったのでしょうか。どっちも見せていいのなら、むしろ両目を出した方が視野が広がっていいんじゃないですか?

これまで左目を徹底して見せないことに何らかの意味やポリシーがあって、それがいつか明かされるのかと思っていたのに、2年後に何の説明もなくしれっと見せられてしまいガッカリです。こうなると片方ずつ隠すスタイル自体が意味不明で、何のポリシーなのかよくわからなくなってしまいます。

チョッパー


ただのマスコットキャラと化し、可愛さアピールが鼻につくようになりました。ストーリーの中で自然と見える表情や言動を読者が「可愛い」と思うくらいがちょうどいいのに、露骨に可愛さを押し付けてくる描写が増え、医療担当ではなく可愛さ担当に振り切ってしまったことで、頼り甲斐が一切なくなりました。

ロビン


オールバックのデコ出しスタイルは完全に失敗でしょう。ロビンはパッツン前髪が個性であり、特徴であり、ミステリアスな魅力だったのに、他の女性キャラと見分けがつきづらいモブキャラのような存在になってしまいました。

幼少期からずっと同じ髪型だったのに、なんでわずか2年でガラッと変える必要があったんですかね。。「和ノ国編」からは特にひどい。キャラの描き分けのうまさが尾田先生のスゴさの一つだったのに、今や女性キャラの見分けが全然つかない作品に成り下がってしまいました。

フランキー

髪型を自由に変えられる設定や、ロボットのようなしゃべり方という不要かつおサムい設定を入れたことで、ただ雑音を撒き散らすだけのキャラになってしまいました。

そもそも「ロボットに興奮する男子と冷ややかな目を送る女子」の構図自体、読者にまったくウケてないのになんでこんなしつこく推してくるのかよくわかりません。

一味の再会を描く大切なシーンで、フランキーのロボ要素に2ページも使うシマツ。ただでさえ人気がないキャラなのに、こんなことしてたらもっと嫌われてしまいますよ。。

ブルック

キャラデザの変更はほぼないため違和感はないものの、ミュージシャンになったという設定がいらなすぎます。2年間修行しようって話だったのに、お前一人だけ何やっとったんだって話です。

音楽を使った特殊能力を身につけさせるのなら、(くまに飛ばされた先の)「ナマクラ島」で黒魔術でも教えてもらってた方がまだしっくりきます。

「大スターとなったブルックが、ライブ会場で麦わらの一味の再始動を発表して世間を騒がせ、あっさりとその地位を手放す」という演出を入れたかったのかもしれませんが、大して盛り上がる演出になっていません。

なぜなら、急にロックスターになっていたと言われ、それを辞めると言われても、読者はポカンで「へぇ…」以上の感想を持ち得ないからです。このシーンで興奮した人いるんですかね?? むしろ「お前2年間何やっとったんじゃ」の方が強いのではないでしょうか。

また「〜だぜ」という話し方もサムい・ダサい・意味不明で、ブルックの人気をさらに押し下げる要素になったと思います。

まとめ

…とまぁつらつらと愚痴ばかりこぼしてしまいましたが、これ、何も最近のワンピースに失望したことで後付けで揚げ足取りをしているわけではなく、「頂上戦争編」を毎週興奮冷めやらず読んでいた人間が、「新世界編」スタート当時に抱いた感想ですからね??

それくらい期待外れで、ワンピースの評価を急降下させる展開だったということです。

もちろん、キャラデザの変更については作者の判断なので受け入れざるを得ませんし、前よりもカッコよくなったという人もいると思うので、それはそれでいいです。

とはいえ、ビジュアルが変わったことについて作中でほとんど触れずに話を進めたことで、これまで思い入れのあったキャラたちを別人のように感じてしまい、読者が感情移入しづらくなってしまったことは否めません。

これが「新世界編」以降のワンピースの面白さを大きく削いでしまった原因の一つだと私は思っています。