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【ワンピース】「ホールケーキアイランド編」がつまらない理由

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4/18に投げ銭下さったTATSUKIさん、ありがとうございます!!

この記事は、2022年1月に公開した記事に一部加筆・修正して再編集したものです。元の記事は2022年のものなので、その時点での原作に対する言及となります。

今回は「ホールケーキアイランド編」がつまらない理由を解説します!

「ホールケーキアイランド編」が面白くないのは、以下の3つが主な原因だと思っています。

  • 物語が始まるきっかけとなるサンジの判断や行動がおかしい。
  • 四皇との対決なのに、緊張感や絶望感、強敵感がまるでない。
  • 御涙頂戴展開が露骨でしつこすぎる。

その他、「セリフのセンスの絶望的な劣化」や「後付け設定の多さ・強引さ」なども挙げられます。

また「ゾウ編」以上に、「え〜〜〜!!?」というリアクションや「💢」付きの吹き出しが大量発生し、終始緊張感のない、ギャグ展開のような空気感で物語が進むことも、つまらなさの原因でしょう。

さて、これまで散々不満をぶつけてきた「新世界編」以降のエピソードですが、「魚人島編」「パンクハザード編」「ドレスローザ編」「ゾウ編」はどれも、大枠のシナリオや構成の部分では面白い部分や「さすが尾田先生」と思える部分がありました。なのでどの記事も冒頭で「面白いポイント」について触れてるんですね。

しかし「ホールケーキアイランド編」は、本当に面白いと評価できるポイントが1つもありません。なんとか見つけ出そうと探してみましたが、どうにも見つからないのです。

感動シーンも今後の展開に期待できるシーンもなく、支離滅裂で一貫性のない、ワンピースとは思えないようなエピソードです。

それほど、物語を通してずーっと違和感というか、「そうじゃないだろ」と思ってしまう引っかかりがあります。

それが一体何なのか、以下解説します。

目次

物語のスタートから茶番展開

ルフィが料理を作ると言い出す

ホールケーキアイランドに向かう途中、サンジがいないため誰が料理を作るかという話し合いになったところ、(ナミにお願いするとお金を取られるため)ルフィが作ると言い出します。

「アーロン編」で「料理も作れねェ」と自分のフガイナサを全肯定していた(正しく自己認識していた)ルフィが、なぜ自分が作るなんてバカなことを言い出すのでしょうか。

「おれが作る!!」と言った後に、「でもおれ料理できねェから チョッパー(ブルック)手伝ってくれ」と助けを求めていればまだ整合性は取れましたが、料理を作れないとわかってるのに、食料を無駄にする行動を選ぶルフィは意味がわかりません。

そもそもナミなら、ルフィが料理ができるはずないことくらいわかりそうなもんです。「あんた料理なんて作れないでしょ!! いいわ 食料を無駄にするくらいなら私が作るわよ」ってなるのが自然じゃないでしょうか。少なくとも、ルフィ一人に任せずそばにいてチェックするとか、そういう行動に出るはずなんです。

これまで描いてきたキャラ一人一人の性格や個性を無視して、「まだ描いたことのない新しいシーン」を安易に描いたようにしか見えません。

どうせクソまずい料理を作るオチだろうと思いつつも、もしかしたら、実はサンジから料理を教わってたり、自分で見て学んでたりして、それなりにできるようになってるパターンもあり得るのかな? なんて考えてました。

あるいは、好物の骨つき肉ばかり焼いてきて、

  • 「肉焼いただけじゃねェか!!」とツッコまれるとか、
  • 「あんた好物なら自分で作れるのね」と驚かれて、「(2年の修行期間に)レイリーに教わったんだ」と返すとか、「作れるぞ!! おまえ失敬だな!!」と返して、食べてみたら(焼いただけで)味つけがなされていなかった(でもルフィは美味しそうに食べる)

など、ルフィらしさを出しつつ、これまでの経験を汲んだ現実的なオチもあり得るのかなと。

だって、さすがにワンピースで(主人公が料理下手でマズイ料理を作って食料を無駄にしてしまう的な)やり尽くされたクソつまらないベタ展開を差し込んで来ないだろう、そんなありきたりで何の捻りもないオチを尾田先生が描くわけないよな…と思ったからです。

で、フタを開けてみたらこれです。

もう…なんなのこれ。なんでこんな無意味でくだらなくて誰もが予想できる定番のオチを、わざわざ冒険漫画のワンピースに挟み込む必要があるのでしょうか。

見た目が明らかに不味そうなのに、ルフィだけが食べてみるまでわからないというスタンスなのも意味不明です。

さらにいうと、食料をすべて使い切った上で料理に失敗し、捨ててしまった(=メシがなくなった)というのに、ルフィはこんな反応をします。

「あはは」じゃねェよ。一番食い意地が張っててすぐに腹の減るルフィが、メシがなくなってしまったことに何ら危機感を覚えておらず、あっけらかんとしてるなんておかしいでしょう。

ルフィにとって食料がなくなることは何よりも重大な問題なはずです。

これも、「料理が下手で食材を無駄にするキャラは、その重大性に気づいておらずあっけらかんと笑っている」というやり尽くされたお決まりパターン。

こうして食料の危機に陥り、サンジの(料理の)重要性を再確認するというくだりなのですが、全く必要ありません。

そもそも自分では料理ができないから料理人を仲間にしたというのに、ルフィが今さら自分で料理をしよう(できる)と考えること自体が不自然でしかない。

また料理中のチョッパーも意味不明です。

「あれ大丈夫か?」じゃねェよ。船が燃えてるんだから大丈夫じゃないことくらいわかるだろバカが。気付いてんなら真っ先に消火しに行けよこの無能たぬきが、って思いませんか?

普通にチョッパーも会話に加わってる中で炎に気づき、「おいルフィ!! キッチンが燃えてるぞ!!」って報告させればいいじゃないですか。

燃えてるのを見てるのに、「ルフィ〜〜〜〜おーい💦」「おい!! ルフィ!!」とか呑気に言ってるんじゃねェと思いませんか。

一コマで表現されてるのでわかりづらいですが、もしかしたら、

・キッチンのドアから煙が出てるのをチョッパーが発見

・ルフィに伝える

・みんなが確認した瞬間に火がついた

という流れなのかもしれません。つまり燃えてるのを見たのは、ルフィたちと一緒のタイミングだったというパターンです。

それでも、キッチンから煙が出てる時点でヤバいと察知しろよこのくそ無能たぬきがと思わずにはいられません。

こんな不自然なだけのクソつまらんやりとり、なんで描こうと思ったのでしょうか。

こういう不自然であり得ないやりとりばかり描くから、キャラが作者の操り人形と化し、魅力がどんどん削がれていってしまうのです。

ルフィが二度も死にかける

ホールケーキアイランドに向かう船で、ルフィが意味もなく2度も死にかけます。

一度目は、キャロットに首を噛みつかれて殺されかけるこちらのシーン。

ミンク族の命を救ってくれた大恩人の船長なのに、人参1本で殺しにかかるっていうのがまず意味がわかりません。

キャロットは自分の人参を食べられると正気を失い、見境なく襲ってしまうというのはわかります。であれば、なでなでされて正気に戻った後に、「ごめんねルフィ…!(私人参食べられると正気を失っちゃうの)」のように謝罪させるべきでしょう。

「いいよ人参あげる♡」じゃねェよ。

この描き方だと、キャロットが人参を食べたルフィにキレて、自分の意思で殺そうとしたことになってしまいます。

で、その後のルフィの「危なかった 殺されかけた…」とチョッパーの「ルフィがやられかけた…」もいらない。ルフィがこの程度で殺されかけるなんて読者はまったく思ってませんし、むしろギャグ展開であっさり死にそうになる船長へのガッカリ感の方が強い。そんなヤツがこれから四皇に挑もうとしてるなんて考えると、一気に興奮が冷めてしまいます。

つまりこのシーンは、キャロットの可愛さと戦闘力の高さを読者に「説明」したいがために、無理矢理ルフィが犠牲になった(殺されるはずないのに殺されそうになったことにした)ようにしか見えないわけです。

そのせいでルフィの強さや頼り甲斐まで損なわれているというのに。。

もう一つは、猛毒を持った「ヨロイオコゼ」という魚を食べたことで死にかけるという茶番です。

これギャグのつもりなのかシリアスな話なのかまったくわかりません。

どうせ死なないのに、なんで主人公をこんなに安易に瀕死にさせるのでしょうか。。

ただでさえ主人公補正で絶対死なないってわかってるのに、こんな茶番で死に追いやられる状況を何度も作ってしまうと、本当に強い敵と対戦してピンチになった時の緊張感がなくなるんですよ。

どれだけ危険な状況に陥っても、主人公補正の「運のよさ」で死なない、という印象が強くなるため、逆効果でしかありません。

また、「巨人族でも即死よ」と言うレイジュに対して、

「おれは船医失格だァ!! うおおおん」と泣き叫ぶチョッパーも意味不明です。

食べたら「即死」だっつってんだろ。医者の腕の話じゃねェんだよ。話聞いてたのかお前。

ついでに言うと、この後サンジの姉・レイジュがルフィに口付けをして毒を吸い取るのですが、その時のナミが照れた表情してるんですね。

これもいらない。ナミはそんなウブなキャラじゃないでしょう。

女湯を覗き見してきた男性陣に、「幸せパンチ」で堂々と裸体を見せて1人10万ベリー請求するような肝っ玉すわった手練ですよ?

そんなナミが、解毒のためのマウストゥーマウスで「え、やだ…ルフィがキスされてる…//」のような表情するとは思えないのです。

レイジュが毒を吸ってる様子に驚かせるだけでいいのに、顔を赤らめて乙女のようなリアクションをさせるのがナミらしくない。読者に媚びてるように見えてしまいます。

サンジの判断と行動原理がおかしい

ゾウ編〜ホールケーキアイランド編に入る「きっかけ」となったサンジの判断と行動に違和感がありすぎて、全く物語に入り込めません。

サンジがゼフを人質に取られてビビる

それは「サンジがヴィトの耳打ちに急にビビり出し、何も話さず一人でビッグ・マム海賊団に乗り込む」という判断をしたことです。

この耳打ちは後に、ゼフが人質に取られていると伝えられたことがわかります。

(厳密には、この時点ではゼフを名指しされたわけではなく、「麦わらの一味やバラティエ、カマバッカ王国など過去につながりのある誰かの首が後日プレゼントで届く」という脅しだったのかもしれません。しかしゼフの存在が一番”効いた”ことは確かです)

この脅しにビビるということは、サンジがゼフを「自分が守ってやらなければいけない弱い存在」として認識しているということです。

ここの違和感がすごい。

これまでのサンジであれば、

「はっ、好きにしろ あのクソジジイはそんなヤワじゃねェ」とか、

「人質に取ったところで お前らが返り討ちに遭うだけだ」とか、

「心配なんかしたらおれがどやされちまう」

という立場で、相手の脅しにのらずにはねのけると思いませんか?

その後にゼフを救う方法を考えるか、(ルフィたちの合流を待って)出方を相談する、あるいは自分の行動の許可を取るほうが自然だと思うわけです。

ビッグ・マム海賊団(やジェルマ66)と全面戦争になろうとも、”東の海”に戻って戦うことになろうとも、大恩人であるゼフを救うために、まずは命を張って戦うことを考えるのがサンジではないでしょうか。

だって、結婚なんかしなくても、どちらかを潰せば問題は解決するんですから。

なぜ戦う(抵抗する)という選択肢が出てこないのでしょうか。

ルフィが海賊王になるためには、ビッグ・マムはいずれ潰さなければならない相手です。

既に喧嘩も売っていて、ドレスローザでは一切怯むことなく反撃の許可を仰いでいたサンジが、なぜ戦うという選択肢を放棄して、一人(話し合いのために)四皇のもとに乗り込むという判断になるのか意味がわかりません。

ルフィ、ゾロ、サンジの主力3名は、相手が四皇だろうと一切ビビらず、むしろ喜んで向かっていく、挑戦していく。それだけ自分の力に自信を持っているキャラであってほしいし、実際にそのように描かれてきました。

それがヴィトからの脅しに素直にビビって相手のペースに飲まれるなんて、違和感しかないでしょう。

(もちろん、自分の過去を仲間達に知られたくないとか、巻き込みたくないとか、カイドウ戦を控えてるのにさらにビッグ・マムを相手にして迷惑をかけるわけにいかない、といった考えもあったかもしれません。この点については後述します)

ルフィ達の合流を待つ時間はないと考えたのであれば、サンジの行動の意図がわかるような書き置きをするか、ナミに伝言を頼めばよかった。

「女に会ってくる」なんて意味不明な書き置きだけして勝手に離脱したら、ルフィがどんな行動に出るかくらいわかるでしょう。

なぜ、仲間たちに何も話さず、一人で乗り込むという判断になるのでしょうか。

そもそも、サンジは何のためにビッグ・マムのもとへ乗り込んだのでしょうか。

ゼフ(や仲間たち)を救うつもりなら、

・「結婚を受け入れて一味を抜ける」か
・「ビッグ・マム海賊団を倒す」

以外に選択肢がないことくらい、サンジなら瞬時に判断できそうなものです。

で、結婚を受け入れる気がないのなら、ビッグ・マムを倒すしかありません。

ルフィが海賊王になるためには、遅かれ早かれ通る道です。

結婚するつもりも、ビッグ・マム海賊団と争うつもりもなく、何のために乗り込んだのかといえば、

「話をつけに行くだけ」だそうです笑

バカなのかな。

なんで四皇から人質を取られておきながら、「話し合い」で解決できると思ってるんでしょうか。

さらにその後、ジャッジに対してはこう言い張ります。

「おれァ”茶会”さえ済めば海賊船に戻る!!! 結婚は芝居だ」

「その後のお前らの運命になんて興味ねェよ!!! 仲間達の首を守りに来ただけだ!!」

なんと「茶会」に出席だけして(結婚したように思わせて)脱出し、ルフィたちのもとへ戻るつもりだったという…笑

それ、一体何の解決になってるんですか? それがなんでゼフや仲間達の首を守ることになるのでしょうか。

結婚が成立しないのなら、ビッグ・マム側もジェルマ側も、サンジやゼフをターゲットから外しませんよね。状況は何も変わらないはずです。

ビッグ・マム側には結婚が成立したように思わせて、(実際は籍を入れずに)サンジの身だけ逃げ出すということでしょうか。

結婚を成立したと誤認させられれば、茶会後にサンジが身を消しても問題ない(追われない)と思ってるんですかね?

それがまかり通るようなマヌケなら、そもそも脅威に感じる必要がないし、バレたら結局“麦わらの一味”やゼフの首が狙われるんだから、いずれによ何の解決にもなっていません。

ビッグ・マムからの「プレゼント」にビビってついて行ったクセに、結婚したフリをして逃げ出すという、何の解決にもならない(「プレゼント」を回避できない)手段を取ろうとしてたなんて…

こいつほんと、何のためにビッグ・マムのもとへ乗り込んだんでしょうか。。頭悪すぎません? こんなのサンジじゃないよ。。

サンジがジャッジにビビる

で、その後ジャッジからゼフの写真を見せられたら、この反応です。

「ドクン…ドクン…」と完全にビビってる。

ゼフの写真を見せられてこの反応をするということは、ゾウの時点ではゼフは脅しに使われていなかったんですかね? 予想外の写真(人質)を見せられてビビってるようにしか見えないので、ヴィトからの耳打ちの時点では、ゼフの名前は出されていなかったのかもしれません。

「誰が殺されるかわからない」という状況であれば、尚更ビッグ・マムを倒す以外に選択肢はないと考えそうなものですけど。。

そもそもサンジがビビるような様子なんてこれまで描かれたことなかったのに、なぜジャッジ相手にこんなに露骨にビビり出すのでしょうか。誰が相手でも、どんな状況でも、常に冷静に頭を働かせて最善の判断をしてきた男じゃないですか。

それが「ドクン ドクン」言わせながらビビっていることを表情に出し、反論一つできずに縮こまってしまうなんて信じられません。

もちろんサンジにとってゼフはそれほど大事な存在なんだというのはわかります。

でも、「自分が守ってやらなければならないほど弱い存在」なのでしょうか…?

ビッグ・マムから直接「覇王色」の覇気を放たれながら脅されたならまだしも、ジャッジに言われてこんなにビビるんですよ?

ジェルマ66なんて、(実力の真価はわかりませんが)今更“麦わらの一味”がビビる相手ではないでしょうし、ビッグ・マム海賊団は(ルフィが海賊王になるためには)絶対にぶつからなきゃいけない相手です。

それならどちらか(もしくは両方)を潰せばいいじゃないですか。

それがもっともシンプルで、本質的な解決策ではないでしょうか。

なぜか不自然なほどに、「戦う」という選択肢を考えないのです。

このあたりに、キャラの心情やこれまでの人間性を無視して、作者が強引に作った設定の上で動かされているように感じてしまうのです。

サンジが迎えにきたルフィを追い返す

そんなサンジを無邪気な顔で迎えに来たルフィに対して、サンジはなぜか蹴飛ばし、追い払うという選択をします。

「帰れ下級海賊共」というセリフも違和感がすごい。海賊に上級とか下級ってあるんですか…? サンジは階級なんて気にしながら海賊やってたんですか?

もちろん思ってもいないことをあえて言わせたのはわかるですが、ルフィを追い返すために最初に浮かんだ言葉、一言目に出てきた言葉が「下級海賊共」だと、サンジがこれまで海賊に対して上級・下級という概念や考え方を持っていたことになります。

ビッグ・マム海賊団の誰かから、「あんな下級海賊共 見捨ててしまえ」のように言われたシーンが描かれていたのであればまだわかりますが、それがないとサンジの頭にはこれまでもそういう思想があったことになってしまう。

たとえばルフィは、絶対に「下級海賊」なんて言葉を使わないでしょう。そんな概念を持っていないから、口から出てこないはずなのです。

それをサンジには言わせてしまう。

実は「ジェルマ王国のプリンス」だったから、そういう概念(思想)を知っていた、ということなのかもしれませんが、長年サンジに感情移入して読んできた読者からすれば、今更そんな後付け設定を出されても納得できないわけです。

これまでのサンジの人間性をベースに、ルフィを追い返すセリフを言わせてくれればいいのに、「実はサンジはこういう人間でした」と過去を持ち出され、それをベースとした発言をされてしまうと、(たとえそれが嘘のセリフだったとしても)これまでのサンジへの感情移入が一気に崩れてしまいます。

こんな言葉、サンジの口から吐かせるべきではなかった。

ちなみにこのセリフは、クラッカーのこのセリフを回収したものです。

「そんなことサンジが言うはずがないと思っていたセリフを、本当に言ってきた」という演出のつもりなんでしょうけど、こんなしょうもない伏線回収しなくたっていいのに。。

その後も、読者が全く共感できない「こいつ今更何言ってんだ?」レベルの安易なセリフを吐かせ続けます。

ここで「Mr.プリンス」の名前の伏線も回収したつもりなのでしょうか。。

もう伏線すげェって言われるためにセリフを考えてるようにしか見えないんですよね。。

また、「必ず戻る」と書いてあった置き手紙については、

なんと「あんな手紙真に受けてんじゃねェよ!!」と言わせてしまいます。

連載当時、サンジが離脱した際は、サンジには何か考えがあって、「必ず戻る」算段をつけた上で単身乗り込む判断をしたのだと思っていました。

ルフィはもちろん、“麦わらの一味”の言う「必ず」にはものすごく強い意味があって、本当に「必ず」果たすものだと思っていたんです。

サンジが「必ず戻る」と言えば、自分の力で必ず戻ってくるつもりなのだと。その算段があるのだと。

しかしそれは嘘だったことになり、迎えにきたルフィを追い返し、最終的にルフィに救われて「結果として戻ってきた」という展開になります。これではサンジの面目丸潰れでしょう。

サンジの「必ず」は今後まったく信用ならない言葉となってしまいました。

このシーンのせいで、サンジは自分の言葉に責任を持てない、意地も男気もないキャラクターになってしまったのです。

なぜこれまで丁寧に築いてきたサンジの魅力を台無しにするような描き方をしてしまうのでしょうか。。

もうこれ、回復させることできないんですよ?

そもそもサンジはなぜ、迎えに来たルフィを追い返したのでしょうか。

サンジのこの時の状況はといえば、

  1. ビッグ・マム海賊団(およびジェルマ66)からゼフや仲間達を人質に取られている。
  2. 爆弾付きの腕輪をさせられ、逃げたら両腕を失う。

というだけです。

1については、前述の通り戦って倒せばいいだけで、ビッグ・マム海賊団に一切ビビっていなかったサンジなら、その選択によってゼフを救おうと考えるのが一番自然です。

2の爆弾付きの腕輪は、島から逃げ出そうとしたら爆発するものであって、ルフィ達に自分の状況や事情を説明したら爆発する(口止めをするための)ものではありませんよね。

加えて、これはシャボンディ諸島でケイミーが付けられていたものと類似のものでしょうから、それを壊す方法は存在するはずです。存在するのであれば、まずその方法を考えるのがサンジではないでしょうか。サンジはそういう頭の使い方をするキャラだったじゃないですか。

つまり迎えに来たルフィ達に事情を話すことなく、一方的に侮辱して傷つけて追い返す必要など全くないはずなんです。

なぜ今更、たったこれだけのことで八方塞がりになり、ルフィを追い返さなければならないという判断になるのか意味がわかりません。

もしかしたらサンジは、これからカイドウ戦を控えているルフィ達に迷惑をかけるわけにはいかないから、事情を話せず、追い返したのかもしれません。話したらルフィが自分を助けるために、ビッグ・マムと戦おうとするのは目に見えてるからです。

であれば、きちんとそう描くべきだった。

「四皇と戦うなら総力戦じゃないと勝てない。今ビッグ・マムとぶつかっても勝ち目はないし、カイドウと戦う前にこっちに戦力を割いてる場合じゃない。だからおれはこのままビッグ・マムのもとに潜入して、頃合いを見てワノ国に駆けつける」のような出方で、ルフィ達に書き置きをするか、ルフィ達が迎えにきた時に伝えればよかった。

その意図をルフィ達に隠す意味なんてないんですから。

そう説明してくれていれば、サンジが単身乗り込んだ理由も、迎えにきたルフィを追い返す理由もわかります。

また、ゼフを人質に取られ、自分がピンチの状況でも、ルフィを海賊王にするために最も有効な方法を考えて戦略的な行動をとろうとするサンジを描くことにもなり、よりサンジの魅力が高まる物語にもなったでしょう。

(それに対してルフィは「サンジが一時的でも離脱するなんて嫌だ」とか「カイドウ戦にはサンジの力も必要だ」と言って、「式をブッ壊そう」と提案すればいい)

しかしサンジは、そんな発言一言もしてません。

サンジがサニー号に戻れない理由は、サンジ自ら語ってくれています。

つまり、

  1. ルフィを侮辱して追い返した。
  2. バラティエが人質に取られている。
  3. 血の繋がった家族を見捨てて逃げることができない。

以上3つの理由で、サニー号には帰れないそうです。

うん、やっぱりカイドウ戦のことを気にしてルフィに頼れないと考えていたわけではなかったみたいですね。

単純にビッグ・マムが怖いから、逆らうわけにはいかないから、ルフィを追い返したということになります。

おかしいと思いませんか?

  • ビッグ・マムは、ルフィが海賊王になるにはいずれ倒さなけばならない相手で、
  • ドレスローザでは一切怯むことなく反撃の許可を仰いでいたのに、
  • ビッグ・マムが怖くて逆らうわけにはいかないから、ルフィを追い返す

という結論になるのです。前提と結論が全くつながっていません。

そもそも3つの理由のうち1と3は後から発生したもので、もともとの逃げられない(ルフィを追い返さなければならない)理由と関係がありません。

バラティエが人質に取られてることだけが理由なら、「ビッグ・マム海賊団を潰せばいい」という結論しかないですよね。

で、実際ルフィは「式をブッ壊す」という結論を出します。

なんじゃこの茶番。

読者含め、全員が最初からそう思ってましたよ? ルフィ達と一緒にビッグ・マム海賊団と戦えばいいだけなのにって。

レイジュでさえ「逃げなさいサンジ」と伝えており、サンジが「そんな事…たとえできても…!! 『バラティエ』はどうなる!?」と返したのに対して、

「それは逃げてから考えればいい」と即答します。

それであっさり納得してしまうサンジ笑

それで収まるなら最初からそうしとけや。

ルフィだって、

「人質ってバラティエだろ!? おれもよく知ってるし 本当に狙われるんなら”東の海”に行ってでも戦うよ!!!」と言っている。

読者含め、みんながレイジュやルフィと同じように、「バラティエの救い方は後から考えればいい」「(”東の海”に行ってでも)戦えばいい」と思っていました。

なんでサンジだけが、この結論に至れないのでしょうか。

サンジの判断と行動原理が全く理解できません。

厳密に言えば、「式をブッ壊す」のと「ビッグ・マム海賊団と戦う」のは意味が異なります。後者の場合、一味が全員そろってないと戦力的に厳しいという判断になるのもわかる。

でも「式をブッ壊す」で済むのであれば、なおさら最初からそうしろよ、悩む必要なんかなかっただろうと思わずにいられません。

式をブッ壊す(=ビッグ・マム海賊団に戦いを挑む)わけにはいかないから、サンジは逃げられず、ルフィ達を追い返したんじゃないんですか?

それが「式をブッ壊す」という結論でまとまるって、一体何を描いてるんですか?

式をブッ壊せば(ビッグ・マムを倒さずに)逃げても問題ないのであれば、

・サンジが一人でビッグ・マム海賊団に乗り込んだこと
・迎えに来たルフィを侮辱して力の限り傷つけ、追い返したこと

すべて無意味だったことになります。

そう、もう初めっから「ホールケーキアイランド編」自体が茶番でしかなかったのです。

あらかじめ練られていたとは到底思えない、行き当たりばったりの展開ばかり。

だから面白くない。

ビッグ・マムを倒さなくても、式をブッ壊せば人質が解放されたことになるのなら、サンジはゾウの時点で「式をブッ壊す」つもりでルフィ達を待つか、書き置きをすればよかったじゃないですか。

なぜサンジだけがビッグ・マム海賊団にビビり、立ち向かうという選択を取れないのか。

それは、尾田先生が「ルフィvsサンジ」を描きたかった(そうすれば読者が興奮すると思った)からです。

もう絶対、これだけの理由としか考えられないのです。

これまで「ルフィvsゾロ」「ルフィvsウソップ」を描いてきたから、サンジの過去を描く際も、その系譜で「ルフィvsサンジ」を描けば読者が興奮するだろうと思ったのでしょう。

だから強引にねじこんだ。

しかしその背景にあるサンジの「事情」が穴だらけで筋が通っていないため、読者はまったくこの展開に納得ができません。

物語の根幹となる「きっかけ」(=サンジの行動原理)が破綻しているので、「ルフィvsサンジ」はまったく共感のできない茶番展開になっているのです。

尾田先生によって強引に作られた、穴だらけの舞台の上で、操り人形のように無理矢理闘わされてる2人が不憫でなりません。

ルフィvsサンジの違和感

多くの読者にとって、「ホールケーキアイランド編」の見どころの1つが「ルフィvsサンジ」でしょう。

しかし私は上述の通り、そもそもルフィを追い返そうとするサンジの行動が意味不明で納得できなことに加え、違和感のある言動や描写が多すぎて、全く感情移入することができませんでした。

何を隠そう、この「ワンピースがつまらなくなった理由」を語る連載は、844話「ルフィvsサンジ」への違和感と怒りがきっかけで書き始めたものです。

それくらい、このシーンにはファンとしては見過ごせない、聞き逃せないような余計なやりとりやセリフ、描写がたくさん入っていました。

サンジがルフィの夢を疑う

私が一番許せないのは、サンジの「お前が『海賊王』になれるかどうかも…疑わしいってのが本音だよ」というセリフです。

たとえゼフを守るため、“麦わらの一味”を守るための「嘘」だとしても、これだけは言って欲しくなかった。というか、言わせる必要がないだろうと思ってしまった。

ルフィを突き放し、追い払うための「嘘」なら、他にいくらでも言えるはずです。

“麦わらの一味”を抜けることになろうが、腕輪が爆発して両手を失うことになろうが、死ぬことになろうが、ルフィの夢だけは否定しない、疑わないという姿勢だけは最後まで貫き通して欲しかった。誰もがわかる「嘘」だとしても、言葉にすらして欲しくなかった。

百歩譲ってこの言葉を吐くとしても、もっと「絶対に言うべきではない重い言葉」として扱って欲しかった。この言葉を言うことに、もっと葛藤して欲しかった。

なんでこんなにもあっさりと船長の夢を否定できるのでしょうか。

ウソップは、ルフィと大喧嘩して一味を抜けようとするときでさえ、ルフィが海賊王になることは疑わなかった。そこがものすごくよかった。

この一言を、主軸メンバーであるサンジに躊躇なく言わせてしまったことのもつ意味は、私にとって果てしなく重いのです。

そもそも、サンジが一味を抜けることとルフィが海賊王になれるかどうかはまったく関係ないじゃないですか。

「乗るなら勝ち馬を選ぶのが人情だ」なんて言っていますが、サンジはいつから「海賊王になれそうな船長の船に乗りたい男」になったんですかね。。

そういう行動原理を持っていると思わせる言動が、これまでに一度でもありましたか?

一味を抜ける理由として成り立っていないわけだから、間違いなく言わせる必要のない言葉です。

それに対するルフィの反応も、

とありえないほど薄い。

ダマしてたわけがないことくらいどちらも分かってるのに、このセリフ、本当に必要でしょうか。

こんなセリフを言わせるくいなら、無言でサンジを睨みつけ、それが嘘だと分かっているからこそ、その真意を探るようにサンジの次の言葉を待つような描写で十分だったのではないでしょうか。

そうして嘘を見抜かれた表情で見つめられ、本心の言葉を待たれ、しかしルフィを追い返すための言葉が思いつかないサンジは、力づくで追い返すしかなくなってしまった。

そのように描いた方が、サンジがルフィを蹴り飛ばさざるを得なかった「葛藤」や、蹴りたくもないのに蹴り飛ばしてしまった「痛み」が表現できたはずです。

まぁ「蹴り飛ばさざるを得なかった」理由がそもそも意味不明なので、茶番の喧嘩であることからは逃れられないんですが。。

ルフィの歯が折れてしまう

サンジから、”ジューシュート”を顔面に受け、

「ボキッ」という効果音とともに、

ルフィの歯が折れてしまいます。

過去にも頻繁に折れてるから今更というのはあるんですけど、ギャグシーンでナミにボコられて折れるのとは違って、こんなシリアスな、ワンピース史に残る重大なシーンで歯を折る必要があったのかと感じます。

サンジが本気でルフィを蹴り飛ばしたことを伝える描写、ルフィの受けたダメージの大きさを伝える描写としては効果的なのかもしれませんが、それだけに、すぐに生えてきたらこの描写が茶番にしか見えなくなっちゃうじゃないですか。

歯を折るなら、絵だけで勝手に抜いておいてくれれば、後から生えていたとしても気にならないんですが、普段「ボキッ」なんて歯が折れたことを伝える効果音を入れないのに、あえて強調しているからこそ気になってしまいました。

で、折れた歯はこのあと牛乳を飲んで、すぐに元通りになります。

やはりただの茶番でした。歯を折らせる必要などなかった。全部台無しです。

ルフィがサンジの「痛み」を説明する

ルフィを力のままに傷つけて追い返したサンジに対し、ルフィは「待てサンジィーッ!!!」と引き止めます。

で、サンジの心情をご丁寧にすべて言語化して説明し始めるんです。

もう何なのこれ、こんなのワンピースじゃないよ。。

「言いたくもねェ言葉並べやがって!! ウソつくんじゃねェよ!!」

「おれの事蹴るだけ蹴っても!! 痛ェのはお前だろ!!!」

って…どれだけダサいセリフなんですか…。

ルフィは人のウソや心の痛みを察して、それを大声で指摘するようなタイプじゃないでしょう。。

サンジの足をズームして「ズキ…」とかやってるのも恥ずかしい。

何でもかんでも言葉にして「説明」しすぎなんです。

キャラクターの心情は、そのキャラの「行動」や「表情」を見て、読者がそれぞれ想像するから感動できるんです。

「今、このキャラの心情はこうです」って(作者から)言葉で説明されたら、一気に冷めて感動できなくなってしまうんですよ。

そのくらい、尾田先生も編集者もわかってるはずでしょう。

このシーン、「サンジは言いたくもない言葉を並べて嘘をついていて、ルフィを思いっきり蹴ったけど本当はそんなことしたくなくて、だから蹴ったサンジの足のほうがズキ…と痛むんです」って説明してるんですよ? しかもルフィが。どんだけダサい描き方してるんですか。

サンジの「痛み」は(ルフィに説明させるのではなく、過去や他のシーンのやりとりで)読者にだけ伝わるように描いて、ルフィはシンプルに「どれだけ蹴飛ばされても立ち上がり、サンジが戻ってくることを疑わない(サンジが嘘をついていることなど見抜いている)」、という見せ方にした方が絶対によかったと思うのです。

その他にもツッコみたいポイントは山ほどあります。

ルフィがサンジを呼び戻すための「決意」が弱すぎる

ルフィは「おれはお前の作ったメシしか食わねェ!!!」と言ってサンジを引き止めようとします。

これ、連載当時は(サンジが帰って来ようと来まいと)「今後はサンジが作った料理以外は食べない」って意味かと思ったんです。

でも、今後「宴」のシーンで他の料理人がいるケースもあるだろうし、常にサンジと行動を共にするわけもないんだから、そんなの絶対嘘じゃないですか。

もし何事もなかったかのように普通に食べ始めるのだとしたら、このセリフは重みを失って、一気に茶番になってしまいます。

何でこんな発言をさせたんだろうと不思議だったんですね。

で、フタを開けてみれば、この発言は「サンジが戻って来るまではサンジの作ったメシ以外食わねェ」という意味だったことがわかります。

これ、サンジを呼び戻すための決意の言葉としては、あまりにも弱くありませんか?

そもそもルフィがサンジを買ってるのは料理だけじゃないはずです。その戦闘力や頼りがいもあって「お前がいねぇと…!! おれは 海賊王になれねェ!!!!」ってなるわけじゃないですか。

そこにはコックとしての役割だけでなく、頼れる戦闘員としての役割も含まれているわけです。なのにわざわざ「料理」だけをピックアップして、「餓死」を脅しに使うもんだから、「お前のメシがねェと…!! おれは 海賊王になれねェ!!!!」って言ってることになってしまいます。

こんな弱くてダサい決意、大声で叫ばせる意味ありましたか?

また、幼少期にサンジが作った料理を「ネズミのエサ」だとバカにされた回想を挟んで、ルフィが自分の料理を認め、求めてくれていることと対比して、安っぽい感動を誘うおうとする魂胆もサムい。

「ネズミのエサ」なんて後付けの安易な御涙頂戴設定、ほんとにいらないんですよ。。

ルフィがサンジを力づくで奪い返しに行かない

というか、餓死するくらいならお前が力づくで連れ戻しに(奪い返しに)行けよって話です。

ルフィとナミは、サンジがゼフを人質に取られて身動きが取れなくなっていることを知っているんですよ?

相手が誰であろうと、何度跳ね返されようと、何も気にせず仲間のためにまっすぐぶつかっていくのがルフィじゃないですか。ナミの時だって、ロビンの時だってそうだったじゃないですか。相手が四皇だろうと、そこは変わらないはずでしょう。

なぜサンジに対しては、自力で解決して戻ってくるのを「餓死するまで待ってる」なんて投げやりな結論になるんでしょうか。

「待ってろサンジ!! 何があったか知らねぇけどな!!(四皇とぶつかることになろうと)おれは絶対にお前を連れ戻しに行くぞ…!!」のようなセリフのほうが、ずっとルフィらしいと思いませんか。

ルフィの決め台詞がダサすぎる

ルフィの叫びはまだ続きます。

「腹が減っても!!! 槍が降っても!!! ここを動かずお前を待ってる!!!」という意味のわからないセリフで、サンジに追い討ちをかけます。

もうしゃべらせすぎ。。

「槍」とかなんで出てきたのかよくわからんし。どこかで槍が降る伏線ありました?

空島編で、モンブラン・ノーランドにカルガラが放ったセリフ、「また来る日のお前の船が海で迷わないように!!! 嵐の中でもこの島を見失わないように!!! 鐘を鳴らして 君を待つ!!!!」のもつ破壊力に比べたら、あまりにも弱い。

ルフィに言わせるセリフとしても不自然極まりないです。

しかもこの後、雨は降ったけど槍は降っていない状況で、ルフィはこの場を離れることになるんです笑

もうなんなの…なんでこんなセリフ言わせたの? 毎週毎週行き当たりばったりの思いつきで、前後のつながりを考えずに描いてるんですかね?

仮に尾田先生が忙しすぎて見落としてしまうのだとしても、編集者が気づいて指摘しろよって話です。

この後ルフィがこの場を離れることになる展開にするのなら、こんなセリフ吐かせるべきじゃないでしょう。

そのせいで、ルフィも自分の言葉に責任を持てないキャラになっちゃうんですから。

「新世界編」以降のワンピースは、とにかく読者をわかりやすく感動させるために、読者の頭の中でキャラたちの心情を想像させることを許さず、全て丁寧に「言語化」するようになってしまいました。

それも、そのキャラ達が(「新世界編」以前には)言いそうにもない言葉でです。

そのせいで、すごく無駄な情報が増えたと感じます。

キャラクターのセリフを減らす(本当に重要な言葉だけに絞る)ことで、このシーンの印象は大きく変わります。

「待てサンジィ────ッ!!!」

「こんなもんでおれを追い払えると思ってんのか!!? フザケンな!!!」

「旅はまだ途中だぞ!!!」

「何があったか知らねぇけどな!! おれは絶対にお前を連れ戻しに行くぞ…!!」

「ハァ ハァ」

「必ず戻って来い!! サンジ───お前がいねぇと…!!

「おれは 海賊王になれねェ!!!!」

ルフィに叫ばせるセリフはこれくらいでよかったと思いませんか?

あとはキャラの表情や回想の間で、読者にそれぞれの言葉の余白を想像させてくれればいい。

そうすればこのシーンはワンピース史に残る感動シーンになったはずなのです。(もちろんサンジと戦うことになった理由についても、合わせて修正する必要がありますが)

「この場を動かない」と言ったルフィが、敵に負けてあっさり牢獄行き

その後、ビッグ・マムの部下たちが大軍で押し寄せて来て、ナミから「隠れるだけでいいから!!」「少しくらい離れたっていいでしょ!!? ここを」と言われたルフィは、

「ダメだ…!! その間にサンジが来るかもしれねェ…!!!」「ここで待つって約束したんだ…!!!」と頑なに動こうとしません。

しかし抵抗虚しく、最後はギャグシーンのような一コマで「グシャ!!」と踏まれてあっさり牢獄行き。

ここまでルフィの決意の固さを描く(それで感動を誘おうとする)のなら、この場を離れさせるべきではありませんでした。

この場を少し離れることさえも許容せず、ナミを巻き込んで危険な目に晒しておきながら、あっさり敗北してその場を離れさせられるって、あまりにも船長としてダサ過ぎません?

なんのための「決意」と「約束」だったんでしょうか。。

一度離れ(させられ)ても戻ってくればいいのであれば、ナミのいう通り一度隠れればよかったじゃないですか。

クラッカーやサンジとの戦闘でボロボロになった状態で、なぜビッグ・マム海賊団の大軍に勝てると思ったのか。

2年前のシャボンディ諸島で、「全員!!! 逃げる事だけ考えろ!!! 今のおれ達じゃあ こいつらには勝てねェ!!!」と言い放った、あの冷静で潔い判断ができる船長・ルフィは、どこへ行ってしまったのでしょうか。

「ちょっと隠れて敵を撒いてから戻る」のと、「ボロボロの状態で無謀にも真っ向勝負して、あっさり敗北して遠くの牢獄に入れられる」の、どちらのほうが「約束」を守れる可能性が高いのかわからないんですかね。

まぁルフィがそんな計算できるはずないので、真っ向勝負を挑むところまでは「ルフィらしい」行動でいいと思います。であれば、きちんと「約束」を守らせて欲しい。

こんな大切なシーンで有言実行できない主人公って。。違和感しかありませんし、カッコよさも爽快感も感じられない、フラストレーションの溜まる展開ばかりが続きます。

ただ捕まってただけのルフィが「やれる事は全部やった」と言い出す

さて、そうして牢獄に入れられたルフィは、ビッグ・マムに対してゴチャゴチャと噛みつきますが、自力では脱出ができず、最終的にジンベエに助けられて脱出することになります。

その後、サンジがプリンにダマされていることを教えるため、ルフィはサンジを探し回ります。

そこをレイジュが見つけて部屋に匿ってくれ、「プリンにダマされていたことをサンジはすでに知っている」と伝えられる。

それを知ったルフィは…

なんと「その他のやれる事はもう全部やったし…!!」と言い出すんです。

えっ…笑 お前一体、何をやったの?

サンジに「ここを動かずお前を待ってる!!!」って約束したのに、ビッグ・マムの手下達にボコボコにやられてあっさり牢屋に入れられて速攻で約束を破り、そこから(ジンベエに助けられて)逃げ出してきただけですよね…

一体何をやった気になってるんでしょうか。。

このセリフ、絶対要らなかったと思うのです。

超激太りの状態から、1日も経たずにガリガリになるまで痩せる

クラッカーとの戦闘で、(クッキーを限界を超えて食べた結果)作中最大レベルまで肥大化したルフィ。

それが、急速に痩せて元通りになる。

ここまではいいです。ギャグ設定として飲み込めます。

しかしこの後、牢獄から脱出してサンジとの待ち合わせ場所に戻り、サンジを待ってるわずかな時間に、骨と皮レベルまで激痩せします。

これがいらない。同情を引くためのお涙頂戴展開が露骨過ぎる。

これまでわずか数時間メシを食べなかっただけでここまで痩せ細ったことなんてなかったじゃないですか。なんでこのタイミングで、急にここまでやつれさせなければならないのでしょうか。

一切メシを食べずに1週間この場所でサンジを待ってたとかなら、激痩せして憔悴しきってる絵もわかりますし、ルフィの「餓死してでもサンジを待つ」という決意が現れるのでいいですが、1日も経ってないんですよ?

ルフィは人よりも腹が減りやすいから、半日も待てばもう餓死寸前で、十分サンジを待ったことになるとでも言いたいんでしょうか。

こういう不自然で違和感のある極端な描き方ばかりするから、物語からリアリティがなくなり、感情移入できなくなってしまうのです。

感動を誘うシーンで主人公をこんなブサイクに描いて、一体何がしたいのでしょうか。。

サンジがルフィに媚を売る

最終的にサンジは涙ながらに一味に戻ってきました。

で、カタクリを倒したルフィに対してこの一言です。

「さすがだっ!!」じゃねェよクソが笑 ルフィに対して「お前が『海賊王』になれるかどうかも…疑わしいってのが本音だよ」と言い放った奴が、なに白々しいこと言ってんだよ。

船長の夢を疑い、侮辱しておいて、そんなご機嫌取りの媚びた褒め言葉一つでチャラになると思ってんのか?

そもそもサンジがルフィに対して「さすがだっ!!」と、強さを直接的に褒めるセリフを言うのが違和感でしかありません。ダサすぎる。

そして「さすが」と思うほどルフィの強さを信頼してるなら、最初から一緒にぶっ飛ばすこと考えろよクソがと思わずにいられません。

「ルフィvsサンジ」を描くには遅すぎた

このエピソードが茶番になってしまった原因の根本は、「ルフィvsサンジ」を描くタイミングが遅すぎたことにあります。

読者はもはや、サンジが本気でルフィを追い返して一味を抜けようとしているとは微塵も思っていません。

「追い返さなければならない」という判断にも、全く共感ができません。

にもかかわらず、「下級海賊共」「あんな手紙真に受けてんじゃねェよ!」「お前が『海賊王』になれるかどうかも…疑わしいってのが本音だよ」など、過去の絆やキャラクターの魅力を無に帰すようなセリフを言わせてしまっている。

ルフィを海賊王にする(いずれ四皇を倒す)つもりのサンジが、四皇に脅されて逃げ出せなくなったことを理由に、ルフィを蹴り飛ばして追い返そうとする。

そんな判断や行動をするような段階、もうとうの昔に過ぎ去ってると思いませんか? 何のための「2年間の修行」だったのでしょうか。

2年前ならまだこの判断もわかるんです。海軍大将や一部の七武海、ロギア系には歯が立たないレベルで、四皇から脅しをかけられたら、自分一人犠牲になって仲間を救うという判断もわかる。

ちょうど「スリラーバーク編」でくまに襲われた時に、ゾロやサンジがとった行動がそれです。

でも、2年間の修行を経て、いよいよこれから四皇を倒して海賊王への道を駆けあがろうってタイミングで、なぜ四皇にビビって自分一人犠牲になり、ルフィを力の限り痛めつけて追い返すという結論になるのでしょうか。仮にゾロが同じ立場だったら、そんな行動に出るでしょうか。

もしこのエピソードが、サンジが仲間になってから時間が経っていないタイミング(まだサンジのことを一味も読者も完全には理解・信用しきれていないタイミング)で描かれていたら、問題はありませんでした。

たとえばグランドライン突入〜「ウォーターセブン編」くらいまでの間に描かれていれば、サンジの過去や裏設定の追加があっても受け入れられた。

しかし、長年作品を愛してるファンたちは、

  • ロビンが一味を抜けようとした際に、「世界政府」相手に、一味全員一切の躊躇なく立ち向かって行ったこと。
  • ルフィがウソップと大喧嘩して、「この船から出て行け」と言いそうになった際、サンジが思いっきり蹴飛ばして、仲間を見限るような発言をさせなかったこと。
  • ウソップがルフィとの決闘の末、一味を抜けたものの、やはり仲間としての絆の深さから戻って来て、「全員」そろってウォータセブンを出港したこと。
  • スリラーバークでバーソロミュー・くまにルフィが殺されそうになった際、サンジがルフィの身代わりとして死ぬ覚悟を見せたこと。
  • 頂上戦争の後、ルフィの現状を知ったサンジが、「次無事に会えたら お前が海賊王になる為に おれは料理人として世界一のサポートをしてやる!!!」と言って2年間の修行をしたこと。

などのエピソードを通して描かれた一味の絆や信頼関係に対して、「この一味の絆は簡単には切れない。誰もが心の底からお互いを信じ合っていて、疑うことなんてしない」という感情移入の仕方をしてきているんです。

にもかかわらず、今更サンジが嘘をつき、一味を抜けようとするなんて言われても、リアリティがなさすぎて共感も納得もできません。

違和感や不快感のほうが勝ってしまう。

たとえばナミのように、最初に船に乗った時点では「手を組んだ」だけで、まだ「仲間」にはなっておらず、その後「アーロン編」で正体が明かされる。これくらいの時間差であれば、「ナミは本当の意味で仲間になっていなかったのか…!」という衝撃と、「ナミは本当に敵なのか…!?」と想像するワクワクがありました。

ナミが本当の意味で「仲間」になったエピソードは、94話「2人目」でした。このタイミングでようやく「仲間」になったのです。当時このタイトルに痺れた読者は多いでしょう。

そしてウソップも、最初に船に乗ったときは「○人目」というタイトルではなく、その後離脱イベントを挟んでそれを乗り越え、本当の意味で「仲間」になった後に、(フランキーと同じタイミングで)439話「3人目と7人目」と書かれました。

この法則で言えば、サンジは68話で既に「4人目」と書かれているんです。

だから読者は完全に仲間になったものだと思っている。離脱するはずがないとわかっている。

にもかかわらず、ナミやウソップやロビン同様、一味を抜けようとする茶番を描いてしまう。

ナミやロビンが、迎えにきた仲間を(暴力で)追い返したことと全く同じことをやってしまう。

本当に船を降りようとしているように見せようと、必死に「説明」してくる。

で、結局何事もなかったかのように戻ってくる。

一体何番煎じの展開なんですか。

これまで伏線や初期構想の緻密さ、壮大さに驚きと感動を与えてくれていた「○人目」の法則を無碍にするような展開を、わざわざ描く必要ありましたか?

グランドラインを長らく一緒に旅をして、幾多の困難や危機を乗り越え、ルフィのために2年間の修行期間を経たサンジが、迎えに来たルフィを(ロビンと同じように何も話さずに)追い返さなければならないなんて展開、読者が納得できるはずがないのです。

今更こんな見え見えの茶番に付き合わされるキャラクター達が可哀想すぎます。

四皇との対決なのに緊張感や緊迫感がまるでない

本来であれば、「四皇」ビッグ・マムとぶつかる「ホールケーキアイランド編」は、ワンピースファンにとっては興奮冷めやらぬ重大エピソードになったはずです。

しかし「新世界編」以降、ワンピースをつまらなくしている「3つの原因」により、そのエピソードは何の緊張感も緊迫感もない、退屈なギャグエピソードになってしまいました。

「四皇」が相手だというのに、前半の海で対面した強敵たちの時のようなドキドキ・ワクワク感が全くない。

その原因は以下の3つです。

  • 恐怖の煽り方が「説明的」すぎる。
  • 💢を吹き出しに入れすぎ。
  • リアクションが「え〜〜〜!?」ばかりでうるさい。

以下、細かく解説します。

残酷な言葉でしか恐怖を煽れない

「新世界編」以降、敵の強さや恐ろしさを「絵」で表現するのではなく、「言葉」で説明するようになりました。

もしかしたら、キャラの強さがインフレし切ってしまい、過去に登場した強敵以上の強さや恐ろしさを描けなくなって、作者自身が諦めてしまったのかもしれません。

「ホールケーキアイランド編」の一番の茶番は、こちらのシーンでしょう。

「四皇」であるビッグ・マムが、なんと拳銃で眉間を狙うというクソみたいな殺害計画を企てます。

「狙うのは奴の”眉間”」
「吹き飛ぶ脳ミソ!!」
「丸腰のヴィンスモーク達の背後にはすでに無数の銃口!!」
「恐がる間もなく飛び散るジェルマの血!!」
「花火のように鳴り止まねェ銃声!!」
「死んでもまだ体を貫く銃弾の雨!!」
「地面に広がる血のプール」
「変わり果てたヴィンスモーク6人の姿!!」

必死に、とにかく必死に、しつこいほど「言葉」で恐怖心を煽ろうとしてるのがわかりますか?

作中で拳銃が効いたことなんて一度もないのに、四皇レベルの戦闘において、この後に及んで「拳銃」での殺害を脅しに使ってくるのです。

しかもドレスローザ編で、ドフラミンゴさんが拳銃での処刑にこだわり、ローに何発も食らわせておきながら全く殺せず、その殺傷能力の低さを改めて読者に植え付けた後のエピソードでですよ?

“悪魔の実”の能力者なら、せめて能力で恐怖心を煽って来いよと思わずにはいられません。

なぜこれが脅しになると思ったんでしょうか。

なぜこれで読者の恐怖心を煽れると思ったのでしょうか。。

グロい言葉や残酷な表現を使えば、恐怖心や危機感を表せると安易に考えているとしか思えません。

またビッグ・マムの強さや脅威を伝えるために、ベッジがこんな「説明」をしてきます。

「怒るビッグ・マム海賊団に囲まれ 3秒も生きてられたら正直奇跡だ!!」って…

いやいや…『ハンター×ハンター』の世界ならわかりますが、さすがにワンピースでそれは無理ですって。。そんなこと言われても何の信憑性もありませんよ。

「んなわけねェだろ笑 何言ってんだお前」という冷めた感想しか浮かびません。

とはいえ初めての四皇戦だし、ベッジにあえてこんなことを言わせるのであれば、もしかしたらビッグ・マムとの戦闘シーンはこれまでにないようなスピード感と緊迫感で描かれるのかもしれない…!

とかすかな期待も抱いていたんです。

でもフタを開けてみれば、結局3秒どころか何分経っても誰一人死にやしない。ダメージを受けた奴さえほとんどいない。

とても「3秒も生きてられたら奇跡」と思えるような、「秒」単位で命を奪い合う切迫した危機なんて感じられません。

その後も何十分、何時間と対面していますが、誰一人死にません。

なんでこういう安易な「嘘」ばかりつくんでしょうか。

言葉だけで恐怖を煽っておきながら、実際は何事も起こらず、「その言葉は嘘だった」という展開の繰り返しだから、すべてが茶番になってしまうのです。

もちろん誰かを死なせる必要はありません。死人を増やせと言っているわけじゃない。

ただ、どうせ死なないことは読者もわかってるんだから、安易に「死」という言葉を脅しに使って、結局死なないという茶番で白けさせないでほしいのです。

言葉で説明するのをやめ、迫力のある戦闘シーンとそのダメージの深さを描く(そもそも尾田先生が得意としていること)だけで、十分緊迫したエピソードになるんです。

それだけの画力がありながら、どうして言葉に頼る描き方ばかりするようになってしまったのでしょうか。。

「💢」を吹き出しに入れすぎ&リアクションが「え〜〜〜!?」ばかりでうるさい

だいぶ前のSBSで、尾田先生は「手書きのセリフを入れると、読者が作者の存在を意識してしまって物語に没入できなくなるから、(以前はやっていたけど)途中からやらないことにした」という主旨の「ポリシー」を語っていました。

「新世界編」以降に急増した、吹き出しに手書きの「💢」を入れる手法は、これと全く同じことが言えます。

手書きの「💢」が入ることで、「このキャラのこの発言はキレながら言ってます」と、いちいち作者が説明しているように見えてしまう。

キャラクター自身の絵に書き込むのならそこまで気にならなんですけど、吹き出しに入れられると作者の存在がよぎってしまい、物語へ没入できなくなるのです。

なぜそのことに作者も編集者も気づけないのでしょうか。。

以前持っていたはずのポリシーはどこへ行ってしまったのでしょうか。

加えて、「え〜〜!!?」「え──!!?」「○○〜〜!!?」というるさいだけのワンパターンリアクションが激増したことで、終始緊張感のない、ギャグ展開のような空気感が漂うようになりました。

これらの要素は「ホールケーキアイランド編」で数え切れないほど発生しています。

「新世界編」以降、ワンピースがつまらなくなっている大きな原因が、このワンパターンリアクションと「💢」の多用であることに、編集者はいい加減気づいた方がいい。

これらをなくすだけで、物語の印象はガラッと変わるはずです。

ビッグ・マムとのやり取りに絞っても、これらの要素は大量にあります。

楽しみにしていたウェディング・ケーキをルフィに破壊されたというのに、、

ビッグ・マムは「え〜〜〜〜!!?」というギャグ反応。

その後、本物のルフィを探しながら、

「どれが”麦わらのルフィ”だい〜〜〜〜!!?」「よくもウェディングケーキをォ〜〜〜!!!!💢」と伸ばし棒+「💢」のバカみたいなセリフを吐きます。

逃げようとするルフィ達に対しても、

「何でおれのナワバリから出られるって…!!! 夢見てんだよォ〜〜〜〜!!!!💢」とまた同じパターン。

「怒るビッグ・マム海賊団に囲まれ 3秒も生きてられたら正直奇跡だ!!」なんて言われてたのに、殺される気配など微塵も感じません。

その後、「食いわずらい」を発症したビッグ・マムが追ってくると、

「え〜〜〜!!?」「ビッグ・マム〜〜〜〜!!!」「ビッグ・マムが!!! もうここまで〜〜〜!!!」と緊張感も恐怖心も感じられないただうるさいだけのリアクション。

いくら攻撃しても当てることができないビッグ・マムは、

「”誘惑の森”ィ〜〜〜!!! そいつらを止めなァ〜〜〜〜!!!💢」と他人任せ。

ビッグ・マム海賊団の大艦隊に阻まれ、絶体絶命のピンチでさえ、

「ぎゃー大変っ!!」「うわ─!! いつの間に〜〜〜!!」とうるさいだけのリアクション。

危機感も緊迫感も一切ない。

これ全部ギャグのリアクションにしか見えないんですよね。。

伸ばし棒+「💢」をギャグにもシリアスにも使いまくるから、そのニュアンスが一体化して、全編通して緊張感のないグダグダな雰囲気になってしまっているのです。

ぜひ、前半の海での強敵達(クロコダイルやエネル、青キジ、ルッチ、くま、黄猿など)との戦闘シーンを見ていただきたい。

すべて確認したわけではありませんが、敵キャラの吹き出しに「💢」を入れたり、「○○〜〜〜!!」なんて伸ばし棒を使ったりするリアクションなんてほとんどないはずです。

だって、そんな雑音があったらあれだけの緊迫感や緊張感なんて描けませんもの。

この他、ビッグ・マムとの戦闘シーン以外も、「💢」と伸ばし棒は大量に使われています。「ゾウ編」よりもさらに多い。

ホールケーキアイランドに向かう船の上。初っ端からこれです。

「こらこらこら〜〜〜〜!!!💢」
「気合を入れろよ!! 沈むぞ!!!💢」
「もうみんなぐったりよ!!!バカ💢」
「そして…覚えてろ…!!!💢」

なんでこんなに大量に💢を入れてしまうんでしょうか。このマーク必要ですか?

もう一つ言うと、怒ってる時にキャラの頭上に発生するプンスカマーク「💨」も邪魔です。これ、「💢」とほぼセットでくまなく入れられてるんですよね。

また「え〜〜!!?」の吹き出しには、「Σ(・□・;」←この顔文字の「Σ」のようなビックリマークや「💦」がほぼ確実につけられるようになりました。

あまりにも多すぎるため雑音にしかなっていません。

吹き出しにキャラのリアクションマークなんて入れなくていいんです。それを入れないとキャラの感情を表せないのだとしたら、それはもう力量不足でしかありません。

その後、革命軍がやられたことを知ったルフィは、

「え〜〜〜〜!!! 革命軍がやられたのか─!!?」とギャグリアクション。

ルフィが料理をして一週間分の食料を使い切ってしまったら、

「え〜〜〜〜!!?」
「これからどうすんのよ私たち〜〜〜〜!!!💢」
「サンジさん助けて〜〜〜〜!!」

と、とにかくうるさい。

何でこんなに伸ばし棒付きでみんなに叫ばせるのでしょか。。

ホールケーキアイランドに到着した後も、

もうずーっとうるさい。

敵に捕まり、牢獄に入れられてしまったシーンでは、

なぜか「水あめで全身ベタベタなの!!💢」とキレるナミ。

いや知るか。

「水あめで全身ベタベタなの!! お願いシャワーだけ浴びさせて!!」とお願いするならまだしも(このセリフ自体不要ですが)、敵に対して全身ベタベタであることをキレながら主張するって意味がわかりません。

ジンベエがベッジの陰謀について語るシリアスなシーンでもこのありさまです。

「え〜〜〜〜!!?」「え〜〜〜〜!!!💦」「え〜〜〜〜!!?」と全部同じリアクション。

ルフィがベッジとの同盟に乗ったら、

また「え〜〜!!?💦」と叫び、

ジンベエがビッグ・マムの傘下であることを知ったら

また「え〜〜!!?」と叫ぶ。

ギャグシーンではなく、普通の会話(なんならシリアス寄りの真剣な会話)にこれだけ頻繁に入れられているのです。

ナミが間違ってチョッパーに攻撃をしてしまった時も、

「え──!!?」「ごめ〜〜〜ん!!!💦」と伸ばし棒ばかり。

ビッグ・マムの寝相の悪さに驚いたブルックは、

「えー!!? 何!? 何!? 何ですか!?」とうるさいだけの無意味な反応。

その後も、

「び!! び び び びっくりしたー!! 何もかもにっ!!!」とノリだけの薄っぺらいリアクションをさせます。「何もかもに」って薄すぎるでしょ。。何そのセリフ。

ビッグ・マムに追われ、攻撃されそうなピンチに、ナミが「待ってルフィ!! 作戦がある」と止めたら、

「どうすんだよっ!!」となぜかキレるルフィ。なぜこんな表情でキレる必要があるのでしょうか。

カタクリを倒し、ボロボロの状態でサンジに担がれて戻ってきたルフィが「おーお前ら…待ちくたびれたぞ…!!」と言ったら、

「うそつけー!💢」とキレる。「💢」付きでキレるようなことですか?

またこのシーン、ブルックに「もうコレ限界の出血量ですよ!!」なんて言わせて、ルフィが重症でヤバイことをわざわざ「説明」するんです。

もういらないんですそういう「傷の深さ」の説明は。。どうせ死なないんだから。いちいちそういう「説明」を入れるから茶番に見えちゃうんです。

御涙頂戴展開が露骨すぎて冷める

「ホールケーキアイランド編」では、サンジがとにかく無能で惨めで情けなくて女々しい男として描かれます。(「ドレスローザ編」ではベラミーがこの役回りをさせられました)

徹底的に1人のキャラを貶めて、可哀想な存在に仕立て上げ、同情を引こうとするそのやり口があまりにも露骨なので興醒めしてしまいます。

サンジが急にメンヘラを発揮

無邪気な表情でサンジを迎えに来たルフィを見て、サンジはサニー号での仲間達との楽しかった思い出が頭をよぎります。

それをかき消すように必死に頭を振り、

爆弾付きの腕輪をつけられた両手を見て、もしビッグ・マムを裏切ったら「大切な」両手が吹き飛ぶことを回想する。

どれだけ丁寧にサンジの苦悩を「説明」するんですか。。

この後ルフィと本気で戦わせるつもりなのに、その前に「本当はサンジは仲間のことが大好きで、サニー号に戻りたいんです。でも逃げられないから、頭を振って無理やり楽しかった思い出を忘れようとしてるんです。両腕に爆弾をつけられてて、逃げたら爆発して大切な両手を失い、料理が作れない役立たずになってしまうから…」って、説明しちゃうんです。

だからこの後サンジがルフィにかける言葉は、すべて「ウソ」であることが読者にはわかってしまう。「ルフィを追い返すために本当は言いたくない言葉を言っている」ことがわかってしまう。

にもかかわらず、わざわざルフィに「言いたくもねェ言葉並べやがって!! ウソつくんじゃねェよ!!」「おれの事蹴るだけ蹴っても!! 痛ェのはお前だろ!!!」なんて言わせて、また「説明」を加える。

なんて野暮なんでしょうか。。

また、ルフィ達を追い返してビッグ・マムのもとに残ることを決めたサンジは、クールにその現実を受け止めているかと思いきや、

「あ〜〜〜〜!! ダメだダメだ」と声に出して、未練のある自分を戒めながら、その決断が正しかったのだと言い聞かせるように、ルフィを追い返した「理由」を説明し直します。

情けない。こんなにうろたえるなら最初からルフィ達に全部話して相談しとけや。

さらに、

「仲間達と別れるのは勿論辛いが」なんて心情まで「説明」させてしまう。。

なんでこうも丁寧にキャラの行動理由や、その時の気持ちを言葉で説明してしまうのでしょうか。。

説明しないと読者がわからないと思ってるんですかね? だとしたらあまりにも読者を舐めすぎではないでしょうか。

こんな説明をさせるくらいなら、サンジはもうサニー号に戻れない現実を受け入れて、思い出を回想しながら微笑みつつ、「誰も死なねェ それが一番だ…」って一言だけでつぶやかせたほうがよっぽどよかったと思うのです。

それでサンジの「覚悟」(有言実行する意志)の強さと、大切な仲間達のために犠牲になった「男気」が表現できます。ページ数も節約できて(情報が凝縮され)、物語のテンポもよくなります。

もしくは、そもそもサンジは最初から脱出するつもりで動いていたという展開でもよかった。というか絶対そっちのほうがよかった。

ルフィを追い払ったのは、ジャッジの前で事情を話したら即ビッグ・マム海賊団に報告されて詰んじゃうから。だからその場はウソをつくしかなかった(腕輪の鍵が見つかるまではそうせざるを得なかった)が、実は裏で1人脱出のために戦略的に動いていたことが明かされる、という展開のほうがずっとサンジらしく、盛り上がったと思いませんか?

あれだけメンチ切って力の限りルフィを蹴飛ばしておいて、終わった後にうじうじ悩み、未練たらたらな姿をさらすって、こいつもうサンジじゃないでしょう。

さらにその後、プリンのために作った弁当を見て、

それがルフィ達の好物であったことを「説明」しながら、まだうじうじと後ろ髪を引かれています。

楽しかった思い出が浮かんできては、「忘れろ…忘れろ…!!!」と自分に言い聞かせるメンヘラっぷり。

その後、プリンがサンジを騙していたことを知って、この表情です。

もう笑うしかありません。

これギャグシーンとして描いてるってことでいいんですよね…? この茶番は笑った方がいいんですよね?

で、プリンから裏切られてボロクソに見下されていることを知ったサンジは、

堪えきれずに泣いてしまう。

サンジってこんなに頭悪くて情けなくて女々しくて泣き虫なキャラでしたっけ?

これまでのサンジなら、プリンが本当は敵で正体を隠してる可能性にくらい頭が回りそうなもんです。

「やっぱりそうだったか…はっ 情けねェ…」くらいのクールなリアクションでよかったじゃないですか。

それでタバコを吸って空を見上げて、ゼフやルフィ達のことを思い出し、自分の愚かさを恥じればいい。

そこから「さてどうすっか…」と、抜け殻になりながらも行動を起こさなければならない状況を受け入れ、この後の出方を考えればいい。

サンジならそういう行動をとると思うのです。

それがプリンのことを完全にいい子だと信じ切っていて、想像だにしていなかった裏切りに呆然と立ち尽くし、自分の惨めさに涙を流すなんて。。

もちろん「女性に優しい女好きのサンジがプリンを疑うはずがない」「疑わないところがサンジのよさなんだ」と言う人もいるでしょう。

私は別にサンジに「女を疑え」と言いたいわけじゃありません。あの頭のキレるサンジが、プリンが本当は敵である可能性について、微塵も想定していなかったことが信じられないのです。

だって読者ですら、連載当時から「プリンが本当は敵である可能性」を考えていたんですよ?

四皇の娘で、四皇の縄張りで暮らしているんですから、「その可能性がある」ことくらい当然じゃないですか。むしろ100%味方だと信じ込むほうが不自然です。

「四皇の娘なんだから、正体を隠してるだけで敵の可能性は当然ある。でも、こんないい子のプリンちゃんを疑いたくはない」ってスタンスで信じ込めばよかったと思いませんか?

そのスタンスであれば、プリンの正体に気づいた時、あんな惨めで情けない表情にはならないはずなのです。

こんな安っぽくて薄っぺらい感動展開のために、なぜこれまで積み重ねてきたサンジのキザでクールで頭のキレるイメージを崩壊させてしまうのでしょうか。。

登場人物がみんな「バカ」にさせられる

これまでのワンピースでは、読者の想像を上回る、予想だにしない行動や頭脳プレーがたくさん描かれてきました。

しかし「新世界編」以降は、登場人物がみんな、読者よりもバカなのです。

より正確に言えば、作者の都合で「バカ」にさせられているのです。「バカ」にしないと、都合のいいギャグシーンや感動シーンが描けないからです。

料理を作れないのに自分が作ると言い出して、食料を無駄にするルフィもバカ。

船が燃えてるのに、報告するだけで何もしないチョッパーもバカ。

四皇から人質を取られているのに、話し合いで解決しに行こうとするサンジもバカ。

四皇から脅されてることを知ってるのに、サンジのウソを信じて「さよなら」と見捨てるナミもバカ。

みんなバカばっかり。

だから作者によって都合よく動かされる「操り人形」にしか見えなくなってしまうのです。

「ホールケーキアイランド編」は特にひどい。

きっと尾田先生は、「完璧なキャラなんて魅力的じゃない。ダメなところ、情けないところ、カッコ悪いところがあるから好きになるんだ」という考えで、あえてサンジをボロクソにダサくて情けないように描いたのだと思います。

でもね、これまで読者が抱いてきたキャラクターの魅力や人間性を無に帰すような姿は、描く必要ないんです。

新しい個性や「ダメなところ」を後付けで次々と加えられると、これまでの思い入れを強制リセットされた感じがして、感情移入できなくなっていくんです。

もし弱い部分を描くのなら、その弱さが出ることにもっと読者が納得できる流れで描いて欲しい。

キャラクターを「バカ」にして、あり得ない行動をとらせて、無理やり弱い部分を晒させるような描き方をしないで欲しいのです。

最終的に、サンジは自分の決断が全くの無意味であったことを知り、このザマです。

「とんだ幻想だった…!!!」って、どんだけバカなんだよ。こんなのサンジじゃないよ。。

最初の判断からぜんぶ間違ってんだよお前。

サンジの母がゴミ弁当を食べて「ん〜♡おいしいっ!!」と言う

「新世界編」以降の過去回想は、とにかくわかりやすく読者を感動させるために、演出を極端にした露骨なお涙頂戴展開ばかり描かれます。

サンジの過去も、もう泣かせようとする魂胆が見え見えで冷めてしまう。

一番気持ち悪いのがこちらのシーンです。

サンジが自分で作った料理を母親に食べさせるために、雨の中、滑って転んだり途中犬に襲われたりしながらも、一人健気に母の元へ向かいます。

もうこの時点で、使い古されたワンパターン展開が始まっており辟易しますが、問題はその後です。

ようやく母親のいるお城に着き、作った料理をメイドに味見してもらうと、

発狂してガタガタと震え出すレベルのマズさ。というか完全に毒を食べたときの反応です。(サンジも「えェ〜〜〜っ!?(そんなにマズいの!?)」と驚いている)

さすがにそんなもの病人に食べさせるわけにはいかないと、気を利かせて別の綺麗なお弁当を出したメイドでしたが、

母親に見破られ、なんと一度ゴミ箱に捨てた料理を出すことに…。

この禍々しい汚物を見て「まあ素敵!」と言わせるのは、母親の愛情深さと優しさの現れとしてまだ許容しましょう。(「まぁおいしそう」とは言わせなかったのでギリOKです)

しかしこれを食べた母親に、

満面の笑みで「ん〜〜〜♡ おいしいっ!!」と言わせてしまうのです。

なにこれ。なんなのこの茶番。この見るからにマズそうでメイドが試食したら発狂するレベルの汚物料理を、一切まずそうな顔をせずに「おいしい」と言い切る母親。

完全にやりすぎです。

もう何から何までやりすぎなんです。

料理を作ったことのない子どものサンジが、何も知識がないなか1人で一生懸命作った。見た目はマズそうで(おそらく味もマズいはずだけど)、お母さんは美味しいと食べてくれた。

これだけでいい。それで十分感動できるんです。

そこにわざわざ

  • (雨の中)途中で転んで落として
  • 潰れて
  • 雨にも濡れて
  • メイドによって一度ゴミ箱に捨てられた
  • 原型を留めていない

なんて要素を加えたら、それはもはや「サンジの料理」ではないでしょう。

読者をわかりやすく感動されるために、わざとこういう極端な「感動要素」をこれでもかってくらい詰め込んでくるのです。

この母親、一度ゴミ箱に捨てられた異臭を放つ汚物を食べて「おいしいっ!!」って言ってるんですよ?

無理して食べたのでしょうか? 実はサンジに料理の才能があって、本当に味はおいしくできていたのでしょうか?

「母親の愛情深さから、息子が作ったものならどんなものでもおいしいと思える」ってことだと思うんですけど、「雨の中落として泥まみれになった上、一度ゴミ箱に捨てられた異臭を放つ汚物」はもうサンジの料理ではありません。

それを「おいしいっ‼︎」と言わせるのはどう考えてもやりすぎです。雨も泥もゴミ箱も、サンジの料理とは何の関係もないんですから。

これだとゴミが美味しいって言ってるようなものですからね。むしろ料理人を侮辱した発言でしょう。

やりすぎなんです。

「クソまずいネズミのエサのようなサンジの料理」と「それを笑顔でおいしいと食べてくれる優しい母親」という極端な対比によって、読者をわかりやすく感動させたいだけなのです。

それによってリアリティが失われ、泣かそうとする魂胆が見え見えになるため、逆に読者は冷めてしまう。

子供がつくった子供らしい、見栄えが悪かったり味付けがちょっとおかしかったりするレベルの料理でよかったじゃないですか。

それを食べた母親は、息子への愛情深さから本当においしいと感じて「おいしいっ!!」と言った。

それでよかった。

「モーガン編」で、リカが作ってくれた砂糖のおにぎり(ヘルメッポに踏み潰されて「ドロのかたまり」になった)をゾロが食べた時は、

きちんと涙を堪えて、死にそうになりながら無理して食べた上で、リカの優しさに応えるために強がって「うまかった ごちそうさまでした」(って伝えてくれ)って言ってるんです。

これが「粋」な表現ってもんでしょう。

尾田先生はもうこの頃のセンスを失ってしまったのでしょうか。。

サンジの母親は、「雨の中落として泥まみれになった上、一度ゴミ箱に捨てられて原型を留めていない異臭を放つ汚物料理」を、満面の笑みで「おいしいっ!!」と言いながら完食するんです。

だから無理して食べてるのか、本当においしく食べたのかがわからない。

メイドが発狂したんだから確実にマズいはずなのに、その様子を見せないということは、この母親は味覚障害という設定なのでしょうか。

サンジもサンジです。(雨の中)途中で転んで落としてつぶれて雨にも濡れて、「失敗した」と自覚していて、メイドがマズすぎて発狂したものを、大好きなお母さんに食べさせようとすんじゃねェよ。

それを美味しいって言ってくれてこの表情って、、

どこまでバカなんだよ。

いくら子供だって、こんなにバカじゃないと思うんですよ。こんな汚物弁当を「おいしい」と言う母の言葉を、そのまま信じて喜んでしまうほど子供ってバカじゃないと思うんですよ。。

これだと「子供」そのものをみくびり、バカにしてるようにさえ見えてくる。

こんな無理やり感動を誘おうとするダサい演出は絶対にいらないんです。

なんでこんな野暮で無粋な感動展開しか描けなくなってしまったんでしょうか。。

その後サンジは、ルフィにも同じように、雨のなか途中で落とした泥まみれの弁当を渡します。

この演出もいらない。わざわざ過去(のやりすぎな感動展開)と対比して同じ状況にする必要がない。普通においしい弁当を渡して、「やっぱりサンジの弁当は何よりもうめェな」って反応でよかったじゃないですか。なぜ泥まみれにする必要があるのでしょうか。

ルフィはその見た目からさすがに「え…💧」とリアクションしますが、食べてみると、

「うんめェ〜〜〜〜!!!」となる。

このリアクション自体はまだ許容できます。一流コックのサンジが作った料理は、雨に濡れても泥にまみれてもおいしいというのはまだ許せる。

でも、子供の頃に(おそらく初めて)作った料理が、雨のなか落として泥まみれになって一度ゴミ箱に捨てられて異臭を放つ汚物になったのに、それを笑顔で食べて「おいしい!!」と言う母親は絶対におかしい。

このシーンを描くなら、

  • 母への料理は、まだ子供で料理の腕がない時に作ったものだから、下手くそで本当はおいしくない(泥には落としていない)。でも母親にとっては、それもおいしいご馳走だった。
  • ルフィへの料理は、雨の中泥に落としてしまったが、一流コックのサンジの料理は泥まみれになってもおいしかった。

とすればよかった。

そうすればどちらも違和感なく受け入れられました。

「子どもの頃の下手くそな料理」+「雨・泥・ゴミ箱」を「おいしいっ!!」と言う母親を受け入れてしまうと、「一流コックが作った料理」+「雨・泥」を「うめェ」と言うルフィのリアクションは、母の愛情深さに霞んでしまいます。つまりルフィのシーンの感動が削がれてしまう。

本来、マズそうな料理を食べてルフィがおいしいと言うことで感動を誘うつもりなのに、「母親のに比べたらそりゃあね…笑」と思ってしまう。

逆にルフィのシーンを感動的だと受け取ろうとすると、今度は母親のシーンが「そんなわけねェだろ笑」としか思えなくなり、演出過多の茶番になってしまう。

どちらにとってもデメリットしかありません。

これで感動してるファンがもしいるのだとしたら、何歳でどういう読み方をしているファンなのかものすごく気になります。このシーンで感動できる理由を教えて欲しい。

もっと言うと、今のサンジは「香り」だけでウエディングケーキの素材をすべて言い当てられるほどの天才的な料理人なのだから、幼い頃からその才能の片鱗があったように描いた方が筋が通ったと思うのです。

初めての料理とはいえ、普通の子供でもありえないようなリアリティのないくそマズい汚物料理を作るシーンなんて、描く必要なかった。

昔は「ネズミのエサ」と言われて兄弟達からバカにされてたなんて後付け感動設定も、入れる必要なかった。

初めての料理なのに、おいしすぎて母親を驚かせ、絶賛される流れでよかったじゃないですか。それが嬉しくて本当に料理人を目指すことにした、という設定でよかった。

「サンジのマズい料理をおいしいと言ってくれるやさしい母親」という感動シーンを描きたいがために、サンジの幼少期を後付けで無能料理人にしてしまったのです。

サンジが「誰よりも優しい」という後付け設定

この他にも、露骨な後付け設定のオンパレードで読者を白けさせます。

サンジが「誰よりも優しい」という設定、これ素直に受け入れられた読者っているんでしょうか?

レイジュからは、「母さんの命懸けの抵抗で守られた”感情”を持って生まれて来た子 それがあなた…」

「だからあなたは 誰よりも優しいのよ!!!」なんて言わせて、

ブルックには、

「サンジさんはね…優しいんです」「彼は度を超えて優しいから!!」なんて言わせてしまう。

急にサンジが「誰よりも優しい」「度を超えて優しい」という設定が登場するんです。

サンジって、年頃の女性には(下心から)優しくしているけど、男のクルーから助けを求められても堂々と断るキャラじゃないですか。

「パンクハザード編」で見知らぬ子供達から助けを求められたときは、

ナミに「助けよう!!! 子供達!!」と言われたのに対して、

「何言ってんだナミさん!! 理由がねェよ!!」「人助け稼業じゃあるめェし!!」と言って見捨てようとした男ですよ?

これだけで、サンジが「誰よりも優しい」「度を超えて優しい」人間ではないことは明らかでしょう。

しかもその後、ご丁寧に「ナミさんの美しい心に応えるだけだ!!!」(自分は子供達を助けたいわけではない)と「説明」するんです。

「お前らなんかむしろ大嫌いだ!!!」「ウッセークソガキ!!💢」とキレてもいる。

サンジなんて綺麗な女性に「だけ」優しくて、人によって露骨に態度を変える、「優しさ」とは対局にいるような人間性を最もわかりやすく体現しているキャラじゃないですか。

それが「誰よりも優しい」「度を超えて優しい」なんて…なぜこんな違和感バリバリの後付け設定を入れてくるのでしょうか。

これまでのサンジの行動原理のなかで「優しさ」がフィーチャーされたことなんてありましたか?

「サンジは度を超えて優しい(誰よりも優しい)からこういう行動を取ったんだ」と感じたこと、一度でもありましたか?

サンジの個性や魅力は「優しさ」よりも、「男気」や「クールさ」「頭のよさ」ではないでしょうか。

ヴィンスモーク家の兄弟達の中で「あなただけが優しさを持っているのよ」ということなら理解できますが、「誰よりも優しい」って…これ共感できた人いるんでしょうか。

プリンの「三つ目」を見たサンジの反応がおかしい

サンジが「三つ目」のプリンを気味悪がらない、差別しないというのはいいんです。それによってプリンが涙し、サンジへの評価が一転して想いを募らせていくというのもいい。

でも、今まで隠してきた額の目が露わになったのを見て、

第一声が「なんて…美しい瞳だ…」はおかしいでしょう。

何という安易で捻りのない、つまらないセリフでしょう。

まず「三つ目」であることに触れませんか? それは差別でも蔑みでもなく、単純に「キミは三つ目族だったのか…!!」と驚いたセリフ、確認のセリフが出てくると思うのです。

以前からサンジが三つ目族の女性がタイプで、ずっと探していたとかならまだわかりますが、それでも第一声がこれは絶対におかしい。

だって、これまで見てきた2つの瞳とまったく同じ瞳なんですもの。

なんで額の瞳にだけ、恍惚とした表情で「美しい」なんて言い出すんでしょうか。。今まで見てきた2つの瞳はなんだと思ってたんだ。

3つそろって初めて美しく見えたってことなんでしょうか。。

こんな薄っぺらい一言に、即座に感動して涙するプリンも茶番がすぎます。

で、三つ目が原因で差別やいじめを受けていたというお決まりの「可哀想な過去」を持ち出し、安っぽいお涙頂戴回想が描かれます。

ほんと、このパターンじゃないともうキャラクターの魅力や感動展開を描けないのでしょうか。。

「美しい」の一言だけでここまで泣き出すのも不自然です。一つ一つの展開や演出が雑すぎて、まったく感情移入できません。

たとえばプリンとの初対面のときから「瞳が美しい」と褒めていて、それが額にもあったことがわかった瞬間に、「君は こんなに美しい瞳をもう一つ持っていたのか…」「美しい…」と言葉が漏れてしまうように描けばまだ納得できました。

「美しい瞳がもう一つ(額にも)ある」ことに驚き、(むしろそれは素晴らしい魅力であると捉えて)見惚れたという描き方をすれば、「三つ目である」ことには気が向いていない(気にしていない)という、サンジの偏見や差別心のない人間性が描けます。

でも、これまで散々通常の瞳を見てきて、その美しさに一度も触れていないくせに、三つ目の瞳にだけ「なんて…美しい瞳だ…(ごくり…♡)」と見惚れるのはおかしい。まったく同じ瞳なんですよ?

どうせなら、近くで見たプリンがあまりにも美しすぎて、瞳(三つ目)のことなど気にも留めずに見惚れてしまう、という描写にしたほうがまだよかったのではないでしょうか。

またラストシーンでは、プリンがビッグ・マムから「操り人形」と言われ、娘として見られていなかった(本当に愛されてはいなかった)ことを悲しむ、というお決まりの同情頂戴シーンが追加されます。

「どうせお前も 私の正体を知れば…」「誰も私を好きになりはしない 私は醜い化け物なんだ」と自分のことを卑下し、蔑み、自暴自棄になっていたプリンをわかりやすく読者に「説明」する。

それでもサンジだけは優しく接してくれた、という毎度お馴染みの感動展開。

このパターン、サンジ自身の過去もそうですし、カタクリの過去も、「ドレスローザ編」のサイとベビー5の関係ともまったく同じ。なんならロビンの過去もそうです。

「親に愛されなかった子供」「差別やいじめのツラい過去を持つ子供」というワンパターンの御涙頂戴展開を、どれだけしつこく差し込んでくるんでしょうか。

なぜ全キャラクターに、こんな安易な悲劇の過去を持たせたがるのでしょうか。。

で、最後は号泣させるという。。

プリンのこの涙に共感できた人っているんですかね?

人間の感情を雑に描きすぎではないでしょうか。一度ウケた感動展開をパターン化して、小手先で描いているようにしか思えないのです。

フランペが急にカタクリに罵詈雑言を浴びせる

ワンピース史上最も押し付けがましくて気持ち悪いと思ったお涙頂戴展開が、カタクリとフランペのやりとりです。

ルフィvsカタクリの戦闘に、これ以上ない「雑音」として登場するフランペ。

カタクリの魅力や、ルフィとの(互いを認め合う美しい)ライバル関係を描くためだけに登場させられた、存在価値のないクソみたいな妹です。

カタクリと戦闘中のルフィに向けて、フランぺは外野から毒付きの吹き矢を放ちます。

ルフィは「見聞色」の覇気でかわしますが、カタクリとの戦闘でフラフラのため、そのままコケてしまう。

それを見たフランペは、

「ぷ──っ!!!」と笑い、超長セリフでルフィを小馬鹿にしはじめます。

それを聞いた周りのモブキャラどもも「ぶ─!! ちょっと笑わせないでください!!💦」と、クソみたいなギャグリアクション。

さらに、

もう読むのがめんどくさいレベルのどうでもいい無駄セリフをしゃべらせまくる。

読者との温度差に気づかないんですかね。空気読めよ。

その後、毒矢を受けてしまったルフィが立ち上がろうとすると、

また「小鹿が立った」で、「ぷ─っ!!」と大爆笑。一体何が面白いんでしょうか。。「小鹿」という単語に笑える要素ありますか?

ルフィを小馬鹿にしていることを「説明」するために、「ぷ──っ!!!」という嘲笑の記号をしつこいほどに使ってくるのです。

「ちょっと笑わせないで!!」「足ががくがく〜〜〜」「小鹿の様に〜〜〜!!」って…もう小学生のいじめレベルのくだらないセリフを、しつこいほど繰り返してくる。

読者が「面白い」と思えない(面白がる人の感情を理解できない)ものに対して、これだけしつこく笑われてもサムいだけです。

で、大好きな「おにー様」にはこのセリフです。

あ〜もううるせェうるせェ。こんな存在価値のない蛇足キャラに、一体どれだけ無駄なセリフをしゃべらせるんでしょうか。

「ウザいキャラクター」って、ただウザいセリフや最低なセリフをたくさん言わせればいいわけじゃないんです。

ちゃんと一人の心ある人間として、リアリティのある発言や行動をとるからこそ、そのキャラクターに感情移入ができて、「このキャラクターウザい」とか「嫌い」と思えるんです。

リアリティのない、不自然で記号的なセリフばかり吐かせてしまうと、それはキャラ本人の言葉ではなく、作者によって「言わされた」言葉にしか見えません。

そうすると、そのキャラがウザいのではなく、作者がウザいだけになってしまう。だから物語に没入できないんです。

ちゃんとキャラクター1人1人を「心ある人間」として見て、そのキャラ本人の言葉としてセリフを書いて欲しい。

作者がただ好き勝手にしゃべらせるだけの「オモチャ」にしないで欲しいです。。

その後、ルフィの動きが鈍くなったのがフランペの毒矢のせいだったことに気づいたカタクリは、ルフィを笑うフランペたちに向かって、誰にも見せたことのなかった裂けた口を見せながらキレます。

これもバトル漫画ではお決まりのセリフではありますが、まぁいいでしょう。

こうやってカタクリにキレさせることが作者の目的なわけですから、フランぺはただ毒矢で援護して、2人の決闘を「邪魔する」だけでよかった。

ルフィをあんなにしつこく嘲笑する必要などなかった。読者にストレスを与え、コマとページを無駄にする蛇足要素でしかありません。

そうしてカタクリにキレられたフランぺは、急に態度を変え、

「キャアア〜〜〜!!💦 来ないで!! 触るな!! バケモノ」と罵詈雑言を浴びせます。

さっきまで「おにー様ぁ〜」とかあほヅラ下げて媚び売りまくってたのが嘘かのような反応。あれだけ尊敬して懐いていて大好きだった「おにー様」に、ここまで態度を急変させますか? ここまで手のひら返して罵詈雑言を浴びせますか?

シリアスなシーンなのに「キャア〜〜〜!!💦」だの「キャ──痛ぁ〜〜〜っ!!」だのうるさいし、モブ達の「えええ〜〜!!? カ…カタクリ様!? その顔…呪い!?」も邪魔でしかない。

さらに、

「だっさ〜〜〜!!!」「あーもう汚い!! 血がついた! なんのマネ? 自分のお腹刺して…!! あんたなんかカタクリおにー様じゃない!!」と、一人で延々しゃべり続ける。コミュ障かお前。カタクリは一言も返してないんだぞ?

とにかくフランぺを最低最悪のクソ野郎に描き、読者をイラつかせて嫌いにさせようと、押し付けるようにウザいセリフばかりを言わせてくる。

モブたちの「同感!! 幻滅〜〜〜っ!!」も記号的すぎて鬱陶しい。

つーかこのモブ子分ども、ビッグ・マムの右腕で懸賞金10億を超えるカタクリ相手に、よくこんな態度取れるなって思いませんか? フランぺ程度の人間についてるだけで、なぜ「将星」をコケにするほどイキれるのでしょうか。

「フランぺ側のキャラ」だから、(ビッグ・マム一味内での強さや序列を無視して)とにかくわーわー言わせておけばいい、という考えが透けて見えます。単なる「にぎやかし」として記号化されたモブたちに過ぎず、そこに人間の心はありません。

このあたりも、モブを含めたキャラクター達の描き方の適当さ、いい加減さが見てとれます。

モブにも舐められるような描き方したら、過去最強クラスの敵であるはずのカタクリの格を下げるだけだってわからないんですかね。クロコダイルがモブ部下達から馬鹿にされてたらどう思いますか? 絶対にいらない描写でしょう。

フランぺの罵詈雑言はまだ続きます。

フクロウナギに似てるとか全然面白くないのに、追い討ちをかけるように罵倒し続けるのがもうしつこい。しつこすぎる。

カタクリの顔が想像と違ったからって、なぜここまで執着する必要があるのでしょうか。

「あれだけ懐いていた可愛い妹から急に態度を豹変され、蔑まれ、見下され、終いにはガムを吐き捨てられる哀れで惨めなカタクリ」を描き、感動シーンに持っていきたいがために、極端なほどフランぺをクズで最低でウザい妹に貶めてくるのです。

その後も、

過去を思い出し、自嘲気味になりながら何も言わずに立ち去ろうとするカタクリに、

まだしつこく追い討ちをかける。写真を撮ってみんなにバラせと命令する。

モブたちは「失礼します すみません へへ」とか「すいません すいま…ププー!!」とバカみたいに笑いながら本当に写真を撮る。

もう気持ち悪い。。

カタクリを哀れにして同情させるためだけに、フランぺとモブ達にしつこいほど「ウザいキャラ」の立ち回りをさせるのです。

もうわかったって。お前らがどうしようもないクズでウザいキャラだってことはわかったから、そんなにしつこく自分がクズだってことを「言葉」で説明しなくていいから。。

これで終わりかと思いきや、この女はまだしゃべり続けます。(カタクリは一言も返していません)

あーもううるせえ。。お前のファンクラブがあることとか人気者とかどうでもいいんだよそんな情報。

無抵抗なカタクリ相手に一人で延々しゃべり続けて何がしたいんでしょうか。

お前の存在が一番恥ずかしいよ。

ワンピース史上、最も胸糞悪く、存在価値のないキャラクター&シーンといっても過言ではないでしょう。

大体、ビッグ・マムの夢は世界中の「あらゆる種族」が家族になることであり、すでに魚人族だって仲間にいるのに、なんでいまさら口が裂けた人間を見たくらいでここまで差別心をむき出しにキレ出すのか意味がわかりません。

ほんと、全キャラに「泣ける過去」や「惨めな設定」を用意して読者の同情を引かないと気が済まないんですかね。。

決め台詞がことごとくダサい

「新世界編」以降のワンピースがつまらない原因は、決め台詞の大幅な劣化にもあります。

もう別人が考えてるのかっていうくらい、キレも深みもひねりもないありきたりで使い古されたセリフばかりが出てくる。

だから物語が締まらない。爽快感が得られないのです。

ルフィが「情くらい移る!!!」と言ってしまう

まずはクラッカーに殺されそうになるパウンドを、ルフィが助けたシーン。

クラッカーから「同情か?」と聞かれたのに対して、

「情くらい移る!!!」なんて言っちゃうんです…

“東の海”でウソップに加勢しようとした時は、

と言ってたのに。。

同情で助けること自体ルフィらしくないのに、「何十回も顔突き合わせてりゃ」と同情した理由までご丁寧に「説明」させてしまう。。

ルフィには「同情」で人を助けたり、敵と戦ったりしないでほしかった。。だってこれだと、「1回しか顔を突き合わせてなかったら助けなかった(かもしれない)」って意味になりますからね。

敵側であろうと、無害な人物や罪のない人物が殺されそうになっていたら、とりあえず助けようとするのがルフィじゃないですか。そこに人助けの意図などなく、ただ当たり前に助けるのがルフィだと思ってたんです。

それが同情したから助けるだなんて…

もっと、読者がグッとくるセリフや、ハッとさせられるセリフ考えられなかったんですかね。

「同情」の意味を辞書で調べると、「他人の気持ち、特に苦悩を、自分のことのように親身になって共に感じること。かわいそうに思うこと。あわれみ。おもいやり」なんですけど、これ、ルフィに全くあわない感情だと思いませんか?

結婚しなかったのがローラだろ..!!

続いて牢屋に閉じ込められたルフィがビッグ・マムに噛みつき、喧嘩を売るシーン。

いやもうしゃべらせすぎ…無駄な情報詰め込みすぎ…。

「結婚しなかったのがローラだろ…!! 『海賊王』になってねェのが…お前だろ!!」というセリフも意味がわかりづらくてキレがありません。

ここは「海賊王になるのはどっちか」について、ルフィに決め台詞を言わせるだけでいい。

「もう一度ケンカ売ってやる!!」
「四皇だからってふんぞり返ってんじゃねェ!!」
「サンジは必ず取り返す」

全部いらない。

何もかもに触れさせようとするから、セリフが多くなって決め台詞の焦点がぼやけるのです。

空想してる間に!! 何もかも失って!!!

牢獄から逃げ出すために腕を引きちぎろうとするルフィ。

なぜそんなことしようとしてるのか、本人がご丁寧に説明してくれています。

もうしゃべらせすぎ…無駄な情報詰め込みすぎ…。

なんというか、長文をリズム良くまとめることに慣れすぎてしまって(それが良いセリフだと思い込んでしまって)、短文でキレ味鋭いセリフを言わせることができなくなってしまってるみたいですね。

「誰か助けてくれねェかって空想してる間に!! 何もかも失って!!! 最後にはビッグ・マムに殺される!!! くだらねェ!!! そんな死に方おれはイヤだ!!!」

たしかに読み上げてみるとリズムのいいセリフなんですが、長ったるいしとにかく内容がルフィらしくない。

ルフィって先のことを想像して行動するタイプじゃないじゃないですか。「今」の状況で最善と思う行動を後先考えずに本能的にとるタイプでしょう。

「誰か助けてくれねェかって空想してる間に何もかも失って最後にはビッグ・マムに殺される」なんてストーリーを想像して、「くだらねェ」「そんな死に方おれはイヤだ」と感想を述べ、だから腕を引きちぎろうとしてるんだと「説明」している。

ルフィにいちいち自分の行動理由を説明させないでほしい。そんなの読者は見てればわかるからです。

しかもこの後ジンベエが助けに来てくれる(空想してるだけでよかった)というオチ…笑

もう笑うしかありません。

この一コマ、丸々不要です。

「他にここから出る方法があんのかよ!!!」

「死ぬより両腕ちぎれるほうがマシだろ!!!」

「このままいたら殺される!!」

「お前も手をちぎれ!!」

くらいのほうが、「今」腕をちぎって逃げ出すことしか考えていないルフィと、このままでは殺されてしまうという緊迫感・切迫感が出てよかったと思いませんか。

本心を言えよ!!!

ホールケーキアイランド編でもっともダサいのが、サンジを連れ戻すための決め台詞です。

いや、だから…ルフィって相手の本心を想像して、ウソを見破って指摘したり、本心で話すことを要求したりするキャラじゃないでしょう。。

もっとルフィ主体の、自分本意なセリフや行動をさせて、そのまっすぐさに相手が心を動かされるという描き方をしてほしい。

で、結局サンジは泣きながら「サニー号に…帰り゛たい゛」ですもん。

ルフィに「ウソ」をついて侮辱しまくり、蹴り飛ばして絶縁して一味を離れようとしたくせに、「本心を言え」と言われたらあっさり言うという…笑

そもそもお前、何のために本心隠してたんだよ? 最初から話してビッグ・マムと戦う姿勢を見せていれば、こんなややこしいことにはならなかったんだぞ?

初めから1人で脱出する策を考えていて、ルフィを追い払った後に腕輪の鍵を探し出し、ルフィが待ってる場所へ戻って、殺されそうな家族を助けたいと吐露し、ルフィが「あたりまえだ」という体で式をブッ壊す提案をすればよかった。

このようにサンジの行動の真意が後から明かされる展開にしたほうが、よっぽどサンジらしくカッコいいシーンになって盛り上がったと思うのです。

主人公・ルフィに「苦しんでいる仲間」を救わせるという「感動」を描きたいたいがために、サンジを極端なほど惨めで情けなくて可哀想で女々しくて泣き虫なやつに仕立て上げてしまった。

そのくせルフィの決め台詞は「本心を言えよ!!!」とあまりにも浅く、サンジもあっさり本音をしゃべる。

ほんと、何のためにサンジに嘘をつかせたんでしょうね。。

ルフィがカタクリに媚びる

ルフィvsカタクリも、雑音まみれで緊張感のない戦いが続きます。

ビッグ・マムに対してあれだけ威勢よく噛み付いていたルフィが、その部下であるカタクリに対して、急に媚び出すのです。

懸賞金43億8800万ベリーのビッグ・マムに対しては「つまらねェ話だな」「もう一度ケンカ売ってやる!!」「ふんぞり返ってんじゃねェ」と上から目線で吠えていたルフィが、10億のカタクリに対しては、

「あいつを越えたい!!! おれ全力のあいつに勝ちてェ!!! 10億の男に!!!」とかいっちゃうんです。

もうなんなのこれ。。何でこんなことルフィに言わせちゃうの?

カタクリを好敵手として認め、その強さに感服し、敬意を表したとしても、「あいつを越えたい!!」なんて「願望」をルフィに言わせないでほしい。

「おれは『海賊王』になる男だ!!」って飄々と言ってのけてきたルフィが、なんでビッグ・マムの手下相手に「あいつを越えたい」なんて「願望」を抱くんでしょうか。「越えたい」じゃなくて、「当然越える」相手でしょう。

「四皇」を全員倒して「海賊王」になることと比べれば、めちゃめちゃちっぽけな障壁じゃないですか。

その程度の志しかないのなら、今後お前は「おれは海賊王になりたい男だ!!」って言うようにしとけ。

おそらくカタクリの強さを読者にわかりやすく伝えるために、ルフィがその強さを認めている(自分より上だと思っている)ことにしたかったんだと思います。

「ホールケーキアイランド編」から懸賞金が爆上がりしたのに、それをあっさりルフィが倒してきているので、「四皇の一味って大したことないんだな」と読者は思ってしまう。

だから「ルフィは懸賞金10億を超えるカタクリを格上の強敵と見てるんです。それくらいめちゃめちゃ強いんです」って説明してるように見えるんですよね。

もう一つの媚びシーンがこちら。

決め台詞なのにしゃべらせすぎだし、「ホントか!! 嬉しい!! ありがとう」なんて言葉、命を懸けた戦いの中で、倒さなければならない相手に対して出てきますかね。。

そこが「ルフィらしい」と作者も一部ファンも思ってるのかもしれませんが、私にはルフィが相手の強さを認めた発言というよりも、ルフィが格上の相手に媚びたように見えて、すごく気持ち悪いんですよね。。

だってこれ、「格下とは思わねェ」って言葉に喜ぶってことは、ルフィは自分が格下だって認めてるってことなんですから。。。

懸賞金が上だからって格下だと思うんなら、43億のビッグ・マム様にも敬意を表せよ笑

もちろん敬いたい相手かどうかはルフィが判断することだし、それが懸賞金の額に関わらなくても問題ありません。ビッグ・マムは尊敬できないけど、カタクリは尊敬できるってことでもいいです。

でも「10億の男」を越えたいって言っちゃってるんでね。。懸賞金で見てるじゃないですか。

43億の四皇は見下し、10億の部下には「越えたい」と「願望」を告げる。

一貫性がなくまったくルフィらしくない発言です。そもそもルフィが相手の懸賞金を意識してることも違和感が強い。

これも「まだルフィは10億の相手に苦戦するレベルで、四皇に勝てるレベルじゃないんです。そんな中、お互いの強さを認め合う(ルフィは格上のカタクリから認められてそれを素直に喜び、お礼を言う)美しいライバル関係なんです」って説明してるように見えるんですよね。。

言葉で「説明」しようとするからすべてが台無しになるのです。もっと絵や行動で「粋」に描いてくださいよ。。

最後の決め台詞もダサすぎる

激戦の末、(主人公補正で無理やり)カタクリを倒したルフィ。

「いつかお前は…”ビッグ・マム”を… …倒しに来るのか…?」と問いかけるカタクリに対して、

「勿論だ おれは…海賊王になる男だ!!!」と返します。

これがめちゃめちゃダサい。

文末が「だ」で重複してるのがまず決め台詞として弱いし、この必死な表情で睨みつけながら「海賊王になる男だ!!!」と叫ぶのもダサい。

「クライマックスだからお決まりの名言吐かせとこう」という浅い考えで言わせてる気がしてなりません。

見聞色の覇気によって「未来」が見えるカタクリとの激闘の末、ルフィに「おれは海賊王になる男だ」と言わせて、「ずいぶん未来を見てやがる…!!」と言わせる。

カタクリにこのセリフを言わせたいがために、ルフィの名言を「振り」に使ったようにしか見えないのです。

だって「いつかお前は…”ビッグ・マム”を倒しに来るのか?」という問いに対してこの返しをしたら、「おれは海賊王になる男だから勿論いつかビッグ・マムを倒しに来る!」って言ってることになるんですよ? ダサすぎません?

これも絶対に練られたセリフではないと思います。考えるのに時間は使ったけど、いいセリフが思いつかなくて妥協してここに着地したようにしか思えない。重要な決め台詞を吐くシーンなのにコマも小さいし。

「新世界編」以降、「おれは海賊王になる男だ」の使い方がめちゃめちゃ雑で、「とりあえず言わせてる」感がすごい。カッコつかないシーンで無理やり言わされてるルフィが可哀想です。

「恐竜の時代から」という意味不明な騎士道の教え

サンジの「女は絶対に蹴らない」という「騎士道」。これがいつ、どのように教えられたかなんて情報、今更どうでもいいと思いませんか?

それをわざわざレイジュに質問させて、

回想の形で描いてくる。

で、フタをあけてみれば「恐竜の時代の流儀」という意味不明でセンスのかけらもない答え。。

実際、質問したレイジュも「?」のリアクション。読者も「?」ですよそんなもん。

意味がわからないというより、そんなことわざわざ「説明」してなんの意味があるんだ? って話です。

そんなつまらない答えならわざわざ描く必要ないだろと思うわけです。

既にエニエスロビー編で、「女は蹴ったらいかんもんだと 叩き込まれて育った」と説明してるんですから。

それが「恐竜の時代から決まっている(から女は蹴ったらいかん)と教えられた」なんて補足情報、いまさら必要ですか?

サンジの「親が悲しむ」という当て付け発言

幼少期にジャッジや兄弟からひどい虐待を受けていたサンジ。

その憎き仇たちを、なぜ助けたのか?

そう問うジャッジに対して、サンジの答えがこれです。

「──父親が悲しむ…」

血の繋がった実の父親の前で、あえて「父親」という言葉を使い、当て擦りのように「お前はおれの父親じゃない」と伝える。

カッコ悪いしセリフが弱すぎてスッと入ってきません。全然決め台詞になっていない。

ゼフのことを「あの人」と呼ぶのも違和感がすごいですが、

「血を分けた実の家族の死をあざ笑う程度の小せェ男になったのかと…呆れられる」「あの人に顔向けできねェ様な生き方は…おれはしねェ!!!」

とか言っちゃうんです。

いやお前、ビッグ・マムにビビって早々に脱出を諦め、船長に対して「お前が『海賊王』になれるかどうかも…疑わしいってのが本音だよ」という史上最悪の言葉を投げかけて、力の限り蹴り飛ばして追い払ったくせに、未練たらたらでうじうじ悩んで、最終的に泣きながら帰ってきたんだけど、その生き方はアリなん? ゼフに顔向けできる生き方なんか?

さらにその後、

「だから認めろ!!! お前はおれの父親じゃねェっ!!! ヴィンスモーク・ジャッジ!!!」と息を巻いて迫るんです。

「血を分けた実の父親」に、「お前はおれの父親じゃねェっ!!!」と認めさせて血縁関係を切り、「二度とおれ達の前に現れるな!!!」と強迫して約束させることはアリなん?笑 それは顔向けできる生き方なんか?

もう最初から最後までクソダサいよサンジお前。

「別に ただの気まぐれだ 二度とおれたちの前に現れなきゃそれでいい」

とか、

「別に いまさらお前らが死んだところでおれの過去は変わらねェ そんな小せェことに執着して”東の海”のクソジジイ(大恩人)に顔向けできねェような生き方は おれはしねぇ」

のような言葉をクールに吐くだけでよかったと思いませんか?

せっかくジェルマを助けてサンジの「優しさ」を描いたのに、父親じゃないことを認めさせるために襟首つかんで押し迫っちゃったら台無しです。

あの人に顔向けできないような生き方はしない。だから家族を救った。みんな無事でなにより。それで終わりでいいじゃないですか。

わざわざ(ルフィたちの前で)実の父親を恫喝して、父親じゃないことを認めさせるなんて、全然サンジらしくありません。

ここのシーン、結局サンジの家族関係については何の解決にもなっておらず、後味悪すぎて全然すっきりできませんでした。

ほんとお前、何のために助けたんだよ。

そしてジェルマ、お前らほんと何のために出てきたんだよ。

ジャッジからの質問に対するルフィの反応がおかしい

最後、船を出してホールケーキアイランドから去るシーンで、ジャッジはルフィに「そいつがなんだと言うのだ!!!」と問いかけます。

サンジは「ジェルマの失敗作」であり、「出来損ない」なのに、そんなサンジ一人を取り戻す為に「四皇」ビッグ・マムのナワバリに踏み込み、命を賭けたのか!? と。

これに対してルフィは何も答えず、

「じゃあな!! 援護ありがとう!!」とお礼だけ返します。

で、その後、

「びっくりした 何であいつ急にお前のいいとこ全部言ったんだ?」って言うんです。

もうこのやりとり、おかしすぎると思いません?

「ジャッジがサンジを侮辱した言葉を、ルフィはすべて肯定的にとらえる」という描き方はいいんです。

でも、そのやり方が下手くそすぎる。

  • 皮膚も盾とならず
  • メシ炊きに従事
  • 王家のプライドもない
  • 情に流され
  • 弱者の為に命を危険に晒す

これらの要素は「サンジのいいところ」と読み取ることができるでしょう。

でも、

  • 「失敗作」
  • 「脆弱な精神」
  • 「出来損ない」

と言われていることに対して、何も反論せず、「何であいつ急にお前のいいとこ全部言ったんだ?」と言ってしまったら、ルフィはサンジが「失敗作」で「脆弱な精神」を持った「出来損ない」だと認めた上で、それを「いいとこ」だと言っていることになるんですよ?

なにそれ酷すぎる…

おそらく、都合よくこれらのネガティブワードだけ無視して(聞かなかったことにして)、その他の部分だけ「お前のいいとこ全部」ってことにしたのだと思いますが、そんな穴だらけのセリフじゃ物語が締まりません。

ルフィはサンジを侮辱した言葉を否定するか、反論するか、無視してサンジを必要としていることを伝える(それが伝わるような発言をする)べきだったと思いませんか?

それでジャッジをハッとさせて、(ルフィのまっすぐで力強い言葉から)何らかの気づきを得るような描写をしたほうがよかったと思うのです。

ネガティブワードだけ都合よく聞かなかったことにするなんて不自然だし、ルフィらしくありません。

「だからサンジが必要なんだ」

と「にっ」と笑って言うとか、

「おれはサンジのいいとこしか知らねェよ」

と返して、自分がサンジを必要としていること、サンジは大切な仲間であることをジャッジに分からせた上で、「じゃあな!! 援護ありがとう!!」と爽やかにお礼を言って別れればよかった。

だってこれで終わったら、ジャッジは結局サンジのことを認めていないし、サンジも親と思っておらずただ絶縁を言い渡しただけとなって、その関係性に何の変化もないままなんですよ?

つまり「ホールケーキアイランド編」って、縁を切ったはずのジェルマと、もう一度縁を切り直すための物語なんです。

だから後味が悪い。

そんな「お互いにとってどうでもいい存在」のまま、絶縁を認めさせるだけで終わるなら、そもそも登場させた意味ありますか?

わざわざゴミ箱からゴミを取り出して、そのままゴミ箱に戻したようなものです。

このエピソードで尾田先生は一体何を描きたかったのでしょうか。

ゼフとサンジの信頼関係でしょうか? ゼフのことを「自分が守ってやらなければならない弱い存在」だと認識しておいて?

もうサンジにまつわるやりとりは、全編通して違和感しかありません。後付け&練られてないまま行き当たりばったりで描いたとしか思えないのです。

まとめ

この他にも、突っ込みたい場面や展開、セリフは山のようにあります。なので今後も追記していくかもしれません。

しかしやはり、「ホールケーキアイランド編」がつまらない一番の理由は、初っ端のサンジの行動に読者が納得できないことでしょう。

そのせいで物語の根幹となるテーマが破綻してしまい、キャラクター達が壊れた舞台の上で踊る操り人形にしか見えなくなっているのです。

ちなみに「魚人島編」も、サンジの鼻血のせいでギャグとシリアスの境界線が破綻したことがつまらなくなった原因でした。尾田先生はサンジに何か恨みでもあるのでしょうか?

勝手な憶測ですが、おそらく「ホールケーキアイランド編」は、後付けもしくは方向修正によって強引に作られた章なのではないでしょうか。

それくらい話にまったく筋が通っておらず、ワンピースとは思えないほど支離滅裂なエピソードとなっています。

せっかくの四皇との直接対決をこんな茶番ストーリーにしてしまっては、その後のカイドウとの戦いにも何ら期待が持てなくなってしまいます。

ということで、次回はいよいよ現在も連載が続いている「ワノ国編」です。

私の中で「ワンピース」は「史上最も好きな漫画」であり、まだ「前半の海」での評価の貯金が残っているからです。

ワンピースが大好きだったからこそ、この先改善されることを(いつまでも)期待して読み続けてしまっているわけです。その期待や熱量がゼロになったら読まなくなると思います。

実際「エッグヘッド編」以降、つまらなさが許容量を超えてきており、熱量は急速に冷めてきています。コミックスも104巻からついに購入をやめました。

ジャンプは購読して読み続けていますが、これもお金の無駄だと感じるようになったら卒業するかもしれません。

余計なお世話としか言いようがありません。

自分の人生の時間の使い方は自分で決めます。

あなたこそ、見ず知らずの他人の人生に意見するような無駄な行為に時間を使うのはやめたほうがいいのではないでしょうか?

他人の人生に口を出す前に、どうぞ自分の人生の心配をしてください。

論理が破綻しており、全く筋違いな言い分です。

プロの作家が商業作品として世に販売している時点で、それを購入した側が評価したり、感想を述べたりするのは当然に許された権利です。

私は読者(消費者)であって、漫画家ではありません。漫画を描きたいわけではなく、面白い漫画を読みたいからお金を払って購入している立場であり、購入した作品の内容に不満があるから、批判的な感想を述べているわけです。

あなたはお金を払って観に行った映画が酷い仕上がりでも、「自分に映画は作れないから文句は言えない」と考えて口をつぐむタイプですか?

購入したゲームがクソゲーでも、「自分では作れないから文句を言う資格はない」と考えるタイプですか?

お金を払って観に行った音楽ライブで、アーティストが音を外したり声が出てなかったり歌詞を間違えまくったりして全く感動できないパフォーマンスを披露しても、「自分のほうが歌が下手だから批判すべきじゃない」と思うのでしょうか?

飲食店でマズい料理を出されても、「自分で作れないんだから(店を開いてないんだから)文句を言う権利はない」とか、「文句を言えるように、まずは自分で作れるようになろう(店を出せるようになろう)」と思うのでしょうか?

市場に商品として投下されている時点で、それを購入した消費者からの評価は避けられません。作り手はそれを分かった上で、自らの意志で作り手側(買い手から評価される立場)を選んでいるのです。

一方の消費者は、自分ではできないからこそお金を払って人に任せているのであり、そこで期待したクオリティに達していなかった場合に、低評価を下したり、批判したりするのは当然に許された権利です。

「購入した商品について批判するためには、自分がその商品以上のクオリティのものを作れなければならない(文句を言うなら自分で作れ)」なんてあまりにも本末転倒で筋違いな暴論です。

頭の悪い人だとバレてしまうので、金輪際そうしたコメントはしない方がいいですよ。

尚、私がこのブログで批判しているのは、基本的に尾田先生(漫画家)ではなく、担当編集者です。編集者視点で、「なぜこの部分を直さないのか」「なぜこの内容でOKを出してしまうのか」という批判をしているのです。

その意味でも「文句言うなら、自分で描いてみては?」という主張は的外れですが、もし「文句言うならお前が編集者をしてみろ」と言われ、実際に依頼をしていただけるのであれば、私は喜んでお受けします。

そして、私が編集者になった後のワンピースがつまらなければ、当然批判も受けとめます。

その覚悟を持って(編集者を)批判していることをご理解いただければと思います。

心配しています。

このブログでは、基本的に尾田先生ではなく、担当編集者を批判するスタンスをとっており、尾田先生の健康や多忙を心配するコメントを過去に何度もしています。

なんなら長期休載に入ることや、連載ペースを落とすことを推奨している立場であり、そうした対応をせずに原作以外の仕事を次から次へと振りまくって尾田先生に負担をかけ、作品の劣化を放置し続ける編集者を批判しているのです。

なぜなら、1人の人間が週刊連載で何十年も面白い作品を(世間とのズレを生む事なく)描き続けることなど、そもそも不可能だからです。肉体的に困難なのはもちろん、作者1人の感覚で何百万人という読者の感覚とズレることなく、質の高い作品を描き続けることなどできるはずがないのです。

そのズレを正すのが編集者の役割であり、作品の質を維持するためには編集者の客観的視点が不可欠だというのに、全く機能していないことが露骨に作品に出てしまっており、にもかかわらず原作以外の大量の仕事を振って尾田先生からネームや作画の時間を奪い続け、作品の劣化に歯止めがきかない状況を進行させているため、その点を指摘して批判をしているわけです。

尾田先生の健康面の心配はしていますし、「作品への批判」と「健康面への心配」は両立するものです。

思いません。

「少年漫画」だから大人の観賞に耐え得るクオリティになっていなくて当然(あるいはそれでも問題ない)という考え方は、「少年」の読解力や感性を「(自称)大人」の勝手な思い込みと偏見で侮り、間接的に「少年漫画」を見下していることと変わりません。レッテルに囚われた思考停止人間の典型です。

少年を侮り、少年漫画を見下し、少年漫画のファンとして感想を述べ合う大人達を「異常」だと言ってのける人間のほうが、よっぽど異常だと私は思います。

読者アンケートの順位は相対的なものなので、「1位のままだからワンピースは劣化していない」という論理は成り立ちません。

ワンピースがどれだけつまらなくなっても、他の作品が抱えているファン数がワンピースよりも少なければ、ワンピースは永遠に1位のままです。「アンケート回答するファンの数=作品の絶対的な面白さ」ではありません。

ワンピースは「前半の海」で蓄積した熱狂的ファンがあまりにも多いので、ジャンプのアンケート回答においては、今度もほとんど1位をとり続けるでしょう。

私の中で「信者」の定義は、「何を描かれても無条件に絶賛し、全て肯定的に解釈して作者を持ち上げる読者」を指しています。

そのため「つまらない部分やおかしいと思う部分は多少あれど、普通に面白いし楽しめている」とか、「前半の海よりも面白さが失われたとは思うけど、新世界編も総じて楽しめている」といった読者は、私の言う「信者」には含まれません。


作者にとって有害かどうかは作者が決めることですので、本人に聞いてみてください。

ただ「つまらない」「くだらない」「ゴミ」「読む価値がない」「お金の無駄」「オワコン」「資源の無駄」といった捨て台詞で、作品を貶めるだけの(ほとんど誹謗中傷でしかない)批判は「有害」だと思いますが、きちんと作品を読み込んだ上で、「なぜつまらないのか」「何が問題なのか」を考え、「どうすれば改善されるのか」まで提示した上で行う「論理的な批判」は、(作者個人は求めていないにせよ)私は「有害」とは思いません。

というより、そうした批判を行う権利は誰にでもあるので、それが有害かどうか議論すること自体がナンセンスです。

それこそ「嫌なら読まなければいい」のです。

煽り体制が低いのは事実ですが、勘違いコメントや難癖コメントを放置すると、それを見た方に誤解を与えたり、場が荒れたりしやすく、早々に対処しておく必要があるため、説明なり反論なりをしています。

えてしてそういうコメントをする人ほど、放置するとそれを「肯定」と見做して、さらに誤解を強めて暴走しやすい傾向にあるからです。

たとえば「煽りコメントにだけ返信してねェw 効いてる効いてるww」とか「図星だから反論できねェんだw」とか「何も言い返せないから逃げやがったww 悔しかったら反論してみろやww」のような言い分です。(そうなると対処にさらに時間がかかるので、早めに処理しています)

また、私への直接的な質問系のコメントやうれしいお言葉にも、できるだけ早めに答えるようにしています。

記事への感想や建設的なコメントについては、読者さん同士でコメントやリアクションをしていただけているので、慌てて私がコメントせずにおまかせしている部分もあります。私がコメントするとそこでやりとりが終わってしまい、読者さん同士の会話が生まれづらくなったりもするので。

色々状況を観察しながら、よいコメント欄になるよう運営していきたいと思っています。

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匿名
匿名
4 ヶ月 前

ホールケーキアイランド編は途中で読むのをやめたくらいつまらないです。

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