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宮台真司『「絶望の時代」の希望の恋愛学』を読んで性愛について考えた

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「私がナンパをするのはセックスが一義的な目的ではない」というお話は、これまで繰り返ししてきました。

参照:私が「ナンパ」をテーマにブログを書く理由。
参照:セックスを目的としないナンパには意味がないのか?

私は、他人だった女性とその日のうちに打ち解けて仲良くなっていく過程が楽しいので、セックスに至らなくても十分満足できてしまうからです。

セックスはおまけ。結果的にそこに至ればそれはそれで嬉しいし、至らなくても別に失敗したとか、おごって損したとかは思わないというのが偽らざる本音でした。

しかし、その考えに変化を与えてくれたのが本書。

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過去にはナンパ師でもあったという社会学博士、宮台真司さんの著書です。

本書を読んで、私がセックスにこだわらない背景には「性への過剰なこだわり」を(無意識的に)忌避している側面があって、それによって「性愛の実り」を獲得できていないということに気づかされました。

そして、自分がまだ知らない「性愛の実り」について、一気に興味が沸いてきたのです。
 

なぜ「性への過剰なこだわり」を放棄してしまうのか?

そもそも、私はなぜ「性への過剰なこだわり」を放棄してしまっていたのか。その理由について、本書では「オタク」を1つの例として、昨今の何事につけ「過剰であること」がイタイと思われる風潮を挙げています。

過剰なこだわりを見せると相手に引かれてしまうため、周囲とのコミュニケーションを円滑にするために「共通前提」を重視して(言わば空気を読んで)、こだわりを放棄してしまうということです。

身近な例で言えば、みんなでカラオケに行った際、本当は好きなアーティストの曲を歌いたいけど、マイナー過ぎてみんな知らないだろうから、「イタイ」と思われないように「過剰なこだわり」を放棄して、「共通前提」としての「みんなが知ってるヒットソング」を歌わなきゃならない、と考えてしまうようなことです。(たぶん)

こうした「過剰というイタサ」を回避することから、「性への過剰なこだわり」も避けるようになってしまい、それが性愛の実りから見放される要因になっていると言います。

私自身「性への過剰なこだわり」を持ってナンパすることをイタイと思っていて、(無意識的に)それを避けてナンパしていたことに気づいたのです。

しかし「性への過剰なこだわり」抜きに、性愛の実りは獲得できないというのが本書の主張です。

「性への過剰なこだわり」がないと、性愛の実りを生むための「変性意識状態」に入ることができないからです。

性愛の実りに必要なものは?

本書で繰り返し出てくる「変性意識状態」という言葉。
 

変性意識状態> とは「加工された意識状態」という意味です。トランス状態が典型ですけれども、 普段の善悪の基準が機能しない、いわば「繭の中に入ったような状態」です。

こう言うとものすごく異次元で、ドラッグや洗脳が絡む危険な意味合いに聞こえるかもしれませんが、そういう文脈で使われているわけではありません。 

分かりやすい例で言えば「ハレ」と「ケ」における「ハレ」の状態。「日常的リアリティからかけ離れたリアリティへと連れていかれた状態」のことです。
 
「変性意識状態」に入ったセックスこそ、「これは一体なんなんだ」「なんでこんなことが起こったんだろう」という「奇蹟的な体験」につながると言います。

どうすれば「変性意識状態」に入れるのか? 

ではどうすれば「変性意識状態」に入れるのでしょうか。また、どうすれば相手を「変性意識状態」に入れることができるのでしょうか。

本書では例として「ナンパする前に正拳突き100回」「全力疾走100メートル」「ジョギングや腕立て」などが挙げられています。

要は身体を動かすことでエネルギーが満ちてきて、「変性意識状態」に入りやすくなるのだそうです。

また相手を「変性意識状態」に入れるには、「この人には自分の世界があって、この人についていけば自分の知らない世界に連れていってくれそう…」と思わせる必要があると言います。

つまり「日常」(ケ)」から「非日常(ハレ)」の感覚に引き込んでいくイメージです。

この点は「友達以上恋人未満」は卒業!女性との距離を近づける「恋バナ戦略」とは? で説明した内容と似ています。

「恋に関する質問」をして、相手に恋バナをしてもらうと、「恋愛的な感情」を頭に浮かべながらあなたと向き合うことになり、ロマンチックな雰囲気(変性意識状態)に入り込みやすいというものです。

本書では、例として「趣味の合致が変性意識状態へのフック」になると説いています。

男が、女の子の趣味に話をぴったり合わせていくと、「この人、こんなに趣味が合う〜!」って 変性意識状態> に入ってしまう女の子がとっても多いんです。そこからいくつかボタンを押すだけで、すぐにセックスできるところにまで行きます。

この辺りはテキストだけではイメージしづらいと思うので、追ってシミュレーション形式で紹介しようと思います。

まとめ

私自身の経験で言えば、ナンパで声をかけるときは自分が「変性意識状態」に入っているという感覚があります。まるでスイッチが入ったかのように何の恥じらいもなく話しかけ、するりと他人の壁を乗り越えて一気に仲良くなれるのは、そうした特別な状態に入っているからでしょう。

しかしそうして一緒に飲みに行ったとしても、そこから「この人なら自分の知らない世界へ連れて行ってくれそう」と思わせるようなコミュニケーションをしてきたかと言うと、ほとんど意識したことがありませんでした。

むしろいかに相手の「日常(ケ)」に溶け込んで、無害な人間と思ってもらえるかに注力したコミュニケーションをしていたと言えます。

これは「性への過剰なこだわり」がイタイからあえて避けてきた面もあります。

その無害さから体を許してくれる女性もいましたが、それでは本書で言う「性愛の実り」の獲得には至っていないのだと気づかされたわけです。

ということで、これからはこれまで味わったことのない「奇蹟的体験」を求めて、女性を「変性意識状態」に誘うようなコミュニケーションを意識してみようと思います。

もちろん「誰でもいいからとにかくセックスに持ち込む」という意味合いではなく、相手の女性に「この人は ここではないどこか> に連れて行ってくれそう」と思ってもらえるようなコミュニケーションを意識するということです。

これについては、実体験としてシミュレーション形式でレポートして行こうと思います。

本書は、ナンパに役立つテクニックや情報がライトに書かれているような書籍ではありません。むしろ、学問的な専門用語が(大した説明もなく共通知識として)頻出するので、読み進めるのに苦労する人も多いでしょう。

そうしたものを求めている人にはオススメしませんが、性愛とナンパについて本質的な視点を得たい方は是非読んでみて下さい。

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