2014年11月28日に発売された拙著 『口ベタ営業マンが渋谷ギャルをナンパし続け半年後に1億の契約をとった件』。
発売以来、Amazonの書籍総合ランキング1,000位あたりをウロウロしていたのですが、実は一時的に、Amazonの「セールス・営業」カテゴリで1位を獲得したことがあるんですね。
まぁ「総合1位じゃなきゃ大したことないよ」というツッコミもあるとは思いますが、正直嬉しかったです!
総合ランキングでも一時800位台まで上がり、発売後数日で一気に圏外までランキングが下がるという事態は避けられました。
さてそんななべおつ本ですが、実は冒頭「”はじめに”に代えて」にて、本書の企画意図について次のようなことを書いています。
多くの方はコミュニケーション力に自信が持てずに悩んでいるようです。
「話し方」や「伝え方」「空気の読み方」から「モテる会話術」まで、[コミュニケーション]をテーマにした書籍が山のように出版されているところを見ると、そのニーズがどれだけ強いかが、よく分かります。
ですが、それらの書籍は「相手の目を見て話す」「3秒以上は見つめない」「目よりも少し下を見たほうがいい」などなど、極めて具体的なテクニック論に寄りがち。
巷にあふれるコミュニケーション本や恋愛メソッド本は「会話の文脈」を無視(あるいは極めて説明が不足)した状態で“つけ焼き刃のテクニック”を羅列しているため、実用性が低いのも無理はありません。
もちろんそれらの「テクニック論」は、人によっては利用価値のあるものもあるでしょうが、「うまくいかない場合もある」といった博打発想の活用法では、コミュニケーションの悩みを根本的に解決できないのです。
重要なのは、その時の「シチュエーション」や「会話の流れ」、「相手との関係値」、「相手の性格」、「テンション」といったあらゆる「文脈」に合わせて、テクニックを使い分けられる「コミュニケーションセンス」です。
つまり「センスを磨かずにテクニックを仕入れるだけでは、コミュニケーションの悩みを根本的に解決することはできませんよ」という内容です。
この点については、以前「女性にモテたいなら「テクニック」よりも「センス」を磨くべき理由!」でも説明したこともあるのですが、理解しづらい考え方かもしれないので補足させていただきます。
コミュニケーション・センスはどう磨く?
「センス」というのは捉えどころのないものと思われがちですが、経営学者の楠木建さんは、「センスとはその人に固有の因果論理の総体」と定義しています。
因果論理というのは原因と結果の連なりのことで、「こうすれば(原因)こうなるだろう(結果)」という引き出しのことを指します。
つまり因果論理の引き出しを増やせば、コミュニケーションにおいて「この相手にはこう接してあげるといい」「こう聞かれた場合はこう返すといい」といったことが想像つくため、コミュニケーションセンスがよいと言えるのです。
「必ず成功する」という1つの正解がないコミュニケーションにおいては、「この状況なら、この対処法」という引き出しの多さこそ、そのスキルの高さを裏付ける根拠となります。 (「”はじめに”に代えて」より)
センスを磨くには、因果論理の引き出しを増やすこと。
では、どうすれば因果論理の引き出しを増やせるのでしょうか? 一番わかりやすいのは、実体験によって「こうすればこうなる」を蓄積していくことですが、それではなかなかコミュ力が向上しないという方は、コミュ力の高い人物から学びを得るのがよいでしょう。
しかし、前述のように「テクニック」だけ学ぶのでは、根本的な解決にはなりません。
ここで重要なのが「会話の文脈」という視点です。
また楠木さんの言葉をお借りすると、「論理を獲得するための深みとか奥行きは『文脈』(の豊かさ)にかかって」います。「情報の断片を前後左右に広がる文脈のなかに置いて、初めて因果のロジックが見えて」くるのです。
つまり「コミュニケーションの論理は文脈の中でしか理解できない」ということです。
文脈から切り離した情報の断片(テクニック)は、「こうすればこうなるだろう」という論理を補完する前後左右の情報がないため、どのような文脈で使うべきなのかの判断がつきません。
コミュニケーションが苦手という人は、因果論理を持ち合わせていないのに、テクニック本から得た「情報の断片」のみを信じてしまうから、その場の文脈に合わせて使いこなせず、「センスがない」と言われてしまうのです。
コミュニケーションの悩みの根本的な解決方法とは?
コミュニケーション力を向上させる方法を端的にまとめると、「コミュニケーションの因果論理を、文脈の中で学ぶ」ということになります。
だから、本書ではシミュレーション形式でナンパのテクニックを紹介しているのです。
私のコミュニケーションを文脈と一緒に「追体験」することで、読者はその背後にある論理を学ぶことができます。論理がつかめれば、自分の文脈に合わせて、適切なテクニックを使いこなることができるようになります。
この論理を獲得することが、コミュニケーションの悩みを根本から解決する方法なのです。
なぜなら「こういう相手とはどう接すれば仲良くなれる?」というのを、自分で判断することができるのですから。